顧客は55社あった。その中にホール企業が数社あった。ホール企業を担当するのは初めてだった。
税理士がホール企業の帳簿を見て一番最初に驚いたのが遊技機の高さだった。新台で40万で購入した機械が1年後には5万円で売却されたり、中古なのに60万円で買ったり、とパチンコ業界の日常が理解できなかった。
「一般的に会社では車やコピー機はリース契約で節税したりしています。実際、引き継いだホールさんもコピー機や観葉植物、さらには清掃道具までリース契約をしているのに、なぜ、一番高い遊技機がリースではないのか、不思議でなりません。本来はリースが合う業界だと思います。ここを追及して、問題点を探せば改善できて良い業界になる」(税理士)
業界を知らない税理士から見ると不思議な世界に映るようだ。
一般的にリースのメリットは企業の信用力不足によって、借り入れが困難な場合、リースを利用することで、設備機器等の購入資金をリース会社が肩代わりしてくれるので、企業は借入をすることなく、設備機器を利用できる。リースの最大の機能は、このように資金調達力にある、と言われている。
リースを利用すると月々のリース料を経費処理する事も認められ、購入による所有資産の場合に必要な減価償却の手続きや固定資産税の納付の必要もなくなるので、事務負担が軽減される。
パチンコ業界の仕組みが分かれば、パチンコ機がリースに不向きなことはすぐにわかる。
「パチンコ機は使用頻度が短いのでリース期間前に変えてしまう。リースをやること自体に意味がありません」(元Oリース関係者)
この根本的なことが分かっていないと、なぜ、リースにしないのか、という疑問も湧いてくるのも当然と言えば当然なこと。
さらに一番の問題は所有権移動の問題。リースだとホールには所有権がないので、中古書類も出ないのでチェーン店移動もできない。
新台を購入する固定資産となり減価償却しなければならない。減価償却とは購入した資産の購入代金を分割して費用化する方法で、この資産の購入費用を、利用できる期間に配分するという方法を減価償却という。その固定資産が何年間使用に耐えうるのかを「耐用年数」という言葉で表現する。
ちなみに別表の通り、税法上はパチンコは2年、パチスロは3年となっている。

「税制改正で加速度償却ができるようになり、パチンコは2年が1年、パチスロは3年が2年に変わりました。耐用年数が2年の場合リースは7掛けまで引っ張れますが、耐用年数が1年なら、1年で落とせるので資産計上しなくてもいい。ますますリースのニーズはなくなります。体力があるなら現金で買った方が得」(同)
なんだか、小難しい話になったが、パチンコの寿命が短すぎることが問題の根本にある。
高い遊技機が何倍も稼いでくれる時代はとっくに終焉を迎えている。ホールの新台購買もかなり抑えられてきているが、リースの方が得になる方法を考える時期でもある。

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