では、お客の負け額と負け率が低くなれば、パチンコから去ったお客が再び戻ってくるのか? そんな単純なことでもないだろう。こればっかりは新基準機が市場に投入されないことには分からない。机上の空論では解明されない。
「5.9号機は見向きもされていない。どうせ新基準機になるのだから、と。ARTが入らない区間が設けられると、本当にショボい機械になる。年末商戦でスロットを買うよりその予算をパチンコの旧基準に投入する。しかし、買い控えというよりも、ホールもおカネがないから買えなくなった」(同)
パチンコビレッジの村岡氏によれば、2017年度はスロットの新台販売台数は70万台程度で、前年比で10数%ダウンとなる見通しだ。
一方、2017年度のパチンコの販売台数は140万台程度に落ち着くと予想している。2016年のパチンコの新台販売台数は168万6990台と比較すると、10数%の減少となる。
ピーク時の2005年は約397万3000台からは約4割減になる。そんなにホールも新台を買わなくなっていることが数字でもわかる。ただ、ピーク時の買い方は、地域最速、最大をウリにボックス買いして、半分は即転売して、利ザヤを稼ぐための買い方だったので、その数字自体が異常だった。
新台の販売台数が下がっているということは、その反面、ホールが機械代の回収を急がなくてもよくなったことを意味する。機械代の負担が少なくなれば、お客の負け額と負け率を下げることにもつながる。
「新台が売れなくなった理由はおカネがない以外には、新台入れ替えしても最低稼働が見込めなくなったこと挙げられます。イベントが禁止になり、最終的に告知できるのは新台入れ替えだけになったが、これもさほど効果が上がらなくなった。今のメーカーの頭脳ではフィーバーやゼロタイガーに匹敵する革新的な機械も作れない」(同)
負け額を下げ、負け率を下げるにしても最後は機械頼みになってしまう。負け額を下げ、負け率を下げて、それで稼働が上がり、客数が倍に上がればそれでやっと成功と言える。
このように業界人は規制の中でも稼働を上げることを考えるわけだが、政府の見方は違う。
「今回の建前は依存症対策なので、規制されたら、規制されたなりに業界の市場は縮小されなければならない。規制して業界が盛り上がったとなれば、さらにきつい規制がかかる」(自民党関係者)
これでは事業を続ける意欲がなくなるというものだ。

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