彼の続報が入った。
今でも副主任としてそのホールで元気に働いているが、ちょっとした変化があった。
2年以上も勤務していると仲良く会話できるお客さんが何人か出てきた。その会話の中でお客さんがサラ金の過払金のことで、弁護士事務所に相談しようかと悩んでいることが分かった。
話を聞くと金利を支払った期間などから、取り戻せる案件だった。しかも完済後の時効は10年で、それを過ぎると返還請求ができなくなるが、そのお客さんは9年だった。
困っている人のために役立ちたいと思って、その旨を店長に報告した。
店長はオーナーに相談した結果、「お客さんのためになるならやってあげなさい」。
ただし、業務時間外ということが条件だった。
弁護士活動をするために、地元の弁護士会に登録もした。
着手金は無料で返還された金額の何%かを経費としてもらうことにした。いわゆる成功報酬型だ。
実際に返還されたことから、その噂を聞きつけた常連客から次々に依頼が舞い込むようになった。
過払い金の返還請求だけでなく、自己破産手続きの依頼も来るようになった。
しかし、弁護士に戻る気はサラサラなかった。
ホールで働きながら兼業で弁護士活動をするのも、常連客からの依頼が落ち着いたところで活発化する気もなかった。
何よりも営業活動ができなくて、弁護士からホール社員へ転職したように、弁護士に未練はなかった。
ホールで働く理由が自分で営業しなくてもいい、というぐらい営業が苦手だった。
ホール社員として店長になる気もない、というから副主任というポジションで満足している。
しかし、弁護士資格を持ちながらもったいない。
ホール企業によっては法務部を設けているところもある。そういう法務部があるホール企業へ転職して本来の資格を活かせばいい、と思うのは第三者の考えのようだ。
本人は「弁護士時代の人間関係から開放されて、こんなに楽しい仕事はありません。常連のお客様と会話できることがうれしい」とホール現場LOVEだ。
追記
再び続報が入った。
その後、過払い金請求の仕事が忙しくなったために、弁護士一本で食って行けると思ってホールを辞めてしまった。
ところが、1カ月ほどでその仕事もなくなった。
元々、営業力がないために、自分で仕事を取ってくることができない。
そして、再び、ホールへ戻ってきた。
今度は正社員ではなく、アルバイトで。

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