そのために、沢山の中間管理職を置かず、店長に絶大な権限を持たせているホール企業がある。経営者感覚を持った店長ということで、機械購入の決済は店長に持たせている。大手ホールほど意外と店長の権限の幅が狭く、備品を買う決裁権限ですら5万円以下、というケースもある。
かつて、スーパーのダイエーがパチンコ業界へ参入した時は、機械を買うのに、稟議、稟議の山で決裁が下りるのに大変時間がかかり、機械を買うチャンスを逸していた。既存ホールの中には、オーナーが即決するというスピーディーがあったので太刀打ちできなかった。
経営者感覚とは経常利益で店舗管理することだ。
売り上げから本業にかかったコストを差し引いたのが営業利益であり、この営業利益に財務活動などの本業以外の損益を加えたのが経常利益である。
企業本来の本業における強さを見るときには営業利益を見て、財務活動などを加えて企業全体の強さを見るときに経常利益を見ることになる。
経常利益で考えると機械代を減らして、販促費を増やすという考え方も生まれて来る。
そして、何よりも拘っているのが「稼働」だ。全台の稼働を上げ、一番店になれば最終的に収益は上がる。
前日のデータを基に、全体稼働だけでなく、個別に稼働の悪かった台の原因を朝一から追及される。店長はその日のうちに対策して報告しなければならない。これもまたスピードだ。必然的に店長は朝一からの出勤となる。2部制で店長が午後2時ぐらいに出社しては、その日に対策が打てない。
経常利益を上げなければ昇給もない。経営者感覚の店長なら、いきなり副社長になってもいい、という考えだ。
他社との差別化で特に力を入れているのが、ハネモノだ。
しかし、ハネモノはコストパフォーマンスが悪い。手間暇がセブン機に比べて非常に時間を要する。ハネモノに力を入れる狙いは技術の向上だ。
客と店長の駆け引きをハネモノの技術を通して磨いている。そこには昔の古き良き時代の駆け引きの名残が残っている。
客は店長のクセを読んで楽しみ、店長はその読みをいかにかわすか。気を抜くと一瞬で稼働が悪くなる。安易なことができないのがハネモノでもある。
出店も社員のレベルを引き上げるために、あえて戦う相手が強いところへ出て行った。普通なら競争のないところに出店したがるが、そういう場所は出店しない。
レベルの高い相手と戦って勝てば、社員の自信にもつながっていく。
今、一番勢いを感じる。

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