以下本文
私は警察とは縁もゆかりもない人間だが、知人に何人か警察関係者がいる。
今はどうだかわからないのだが、十数年前までは警察官の非番と言えばパチンコというのは割と定番の過ごし方であったようで、私の知人もその例に漏れずかなりのパチンコファンであった。
そんな彼らと12、3年前に飲んだ際にちょっとしたショートショートのような会話があって今でも心に残っている。
警官にも遠隔信者はいるようで、ある交通課の警官が先輩の生安にいる警官にこんなことを言った。
「先輩、A店って怪しくないですか?! 俺はいっつもあの店で理不尽にヤラれっぱなしだし絶対なんかやってますよ!!」
すると生安の警官は笑いながら(それが良いことなのか悪いことなのかは私は知らないが)
「それなら俺が管内で遊んで勝ったり負けたりってのはおかしいだろ。少なくとも俺がしこたまヤラれて防犯カメラを睨み付けた時くらい出したって良さそうなもんだ。」
与太話はさておき何が言いたいのかというと、警察官僚様も議員センセイもパチンコで遊ぶこともないし、業界の将来なんてことも微塵も考えていないということ。
先般の警察のクギ問題提起の際に「ギャンブル依存症を減らす」という大義を掲げ大きな波紋を生んだ訳だが、一見当然に見えるこれも実のところ国連が言い出した「日本人の5人に1人はギャンブル依存症」という言葉に反応しただけのことだ。
なぜかと言えばこの言葉に対する世論は、カジノ法案を通過させたいIR議連のセンセイ方にとって非常に厄介であるからだ。
つまり監督官庁たる警察庁と業界にポーズを取らせたかったというのがその実であろう。
ところが誰もが認める「パチンコはギャンブル」という認識を、あくまで「遊技」と言い張りたい警察庁や業界も、ではどうしたらいいのかわからない。
もう業界自体が今更収拾のつかないカオスで黒に近いグレーの状況である。
そもそもパチンコに於ける風適法とは取りも直さず「射幸性の抑止」が目的であるが、今に至るまでの数十年間それなりの紆余曲折はあったものの大して果たされてきたとは言えない。
メーカーは「6割規制」なぞ完全無視だし、警察庁の天下り組織である保通協とてそれを承知で検査を通過させたことは、よもや知らぬとは言わせぬという状況であろう。
で、スケープゴートのスケープゴートとしてホールを打擲するわけだが、とは言え「利益操作のためにクギ調整をしていることは承知している」との認識を明らかにしたことから分かるように、それほど強くも出れない。
そりゃそうだ、今の今まで手に手を取り合ってナァナァでやってきたわけで、警察庁としても長年の既得権益を手放さないために汲々としているところだろう。
結局今は「とりあえず目立ってみたポーズ」の議員センセイと「拳を振り上げたポーズ」の警察庁と「ごめんなさいのポーズ」をとった業界と言うだけのことで、本質的には何も変えようなんて誰も考えてはいないというところだろう。
しかし消費税増税に伴う軽減税率の導入を自民党が飲んだことで不足になる分について、この先(おそらく既にだろうが)税調から相当な圧力がかかるだろうから、この時こそは何かしら大きな変革を迫られるのかもしれない。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。