新幹線の中で業界人に出会うこともそうそうない。
トイレに立った時、そのうちの一人と一緒になったので「パチンコ業界の方ですか?」と声をかけた。
ビンゴだった。メーカーの営業マンであることが分かった。
「今は一パチンコファンですが、私は元業界人でした」と立ち話を始め、席に戻ってパチンコ談義が始まった。
「パチンコ業界が景気回復するにはどうすればいいですかね?」と逆質問を受けた。
「パチンコファンを集めてファンミーティングをしているメーカーがありますがそんなことをしても無駄ですね」
「じゃ、どうすればいいんですか?」
「業界の皆さんが、縮小するのを指をくわえて見ていただけですから無理だと思います」
最盛期には3000万人いた遊技人口が、1000万人を切って970万人になったことは、業界にはカウンターパンチだった。ここまで一気に底割れするとは業界人の誰もが予想していなかった。
堤防が決壊して、慌てて土嚢を積んでいるのが今のパチンコ業界の姿だ。決壊するまでは時間もあり、予兆もあるのに、何もしてこなかった。
回せばいいとばかりに1個返し。
ピントがずれている。
「メーカー2社が倒産したことでも分かるように、今、業績のいいメーカーでも10年後は分かりません」とメーカー側からの本音も覗く。
「ライトミドルでお客さんを増やそうとしているメーカーもありますが、私は無理だと思います」
「じゃ、何がいいんですか?」
「甘デジしかありません」
「それは売り上げが上がらないので、ホールさんが買ってくれません」
ホールの本音で言えば、稼働よりも売り上げ、粗利が取れる機械を望む。それがMAX機偏重主義を生んだ。
MAX機は行政からもNOが突き付けられたわけだから、ホールも考え方を改めなければMAX機がなくなる時代を生き残ることはできない。
ホールとメーカーとユーザーが本来の遊技という同じベクトルに向かって進まなければ、業界の発展はない。
「ところで、パチンコメーカーは何社ぐらいが生き残りますかね?」
「6社しか残らないでしょうね。瀬戸際に立っているメーカーの中には、ポテンシャルはあったけど、いい人材が抜けたことが痛かった。開発陣は業界内を流動していますからね。倒産したメーカーは給料が安く、優秀な開発が2人いたんですが、引き留められなかった」
メーカー個々の努力では遊技人口を増やすことなど、夢のまた夢、と諦めてしまっていることが伝わってきた。
新幹線は福島に到着した。

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