目的は客層を分析して、開ける台を決めるためだった。
その定点観測はかれこれ10年も続けている。
10年も続けると膨大なデータから、最近の傾向も見えてくる。
「今、60~70代のお客様は、20代の頃からパチンコを続けられている方々です。今、30代の方は10年前は20代で、40代の方は30代なんですが、10年前に比べると明らかに20代のお客様がいません。20代の方がいないということは、10年後に30代のお客様もいないということがいえます。今、ホールのメイン客層である60~70代のお客様は10年後には消えていきますから、パチンコは危機的な状況に陥ると思います。スロットのお客様はなかなかパチンコへ移行して来ませんから、本当にパチンコは先細るばかりです」
この10年間、社会で何があったというと、20代の若者の非正規社員率が増加したことが挙げられる。
雇用の調整弁だった派遣社員はリーマンショックで、多くの人が職を失った。
今年の流行語大賞には「さとり世代」という新語もノミネートされている。
この意味は、ゆとり世代の次の世代で、結果のわかってることに手を出さない。草食系。過程より結果を重視。浪費をしない、と定義されている。
今の20代は平成世代で、バブル経済が崩壊して、失われた20年という時期に生まれ育っているので、そもそも不況しか知らないかわいそうな世代でもある。
従って、お金を貯めようにも貯めるお金がなく、お金があっても、使うより貯め込むほうが得、と考える。
このさとり世代にパチンコを勧めるということは、遊びの多様化という以前に、浪費しない思考回路になっているので、かなりハードルが高いことが分かる。
「ホールは粗利を取らなければ、運営できません。かといって、20代、30代のお客様からは粗利は取れないので、必然的にお年寄りから頂いている感じになりますね。ただ、20年先はそのお客様はいなくなっているので、営業方針を変えなければ、なりません。全体的に嵩上げしなければ業界は取り残されてしまいます」
では、どうやってファンの数を増やすのか?
日本経済が復活して、さとり世代の次の世代が大人になるまでも待てない。
「ファン感謝デーも最近はお客様に喜ばれていないことが、肌で伝わってきます。豪華景品の抽選時間を告知しているにも関わらず、お客様はその時間帯に増えません。ファン感もジリ貧で効果がありません。もっと他の方法を考える時期ですね。釘を開けて回すしか方法は浮かびません」
あるホールが機械代予算を2倍にした。仮に年間1億とすれば、2億円に引き上げた。
目的は稼働と粗利を上げるためだ。
機械代を倍にしたことで、確かに、稼働と粗利は上がったものの、手元に残った金は1億円の機械予算の時と同じだった。
「結局1億円はメーカーに流れただけで、メーカーを喜ばせただけです。本来はお客様を喜ばさなければならない。その1億円をお客様に還元するべきでした」と悔やむ。
業界の課題が見えてきた。
さとり世代を徹底研究することだ。浪費は悪、と教育されて、かなり損得勘定するので、現行の風営法下の機械で集客することは難しい。
1000円があっという間に消える機械には見向きもしない。
こういう実情を踏まえ、パチンコ人口4500万人のリバイバルプランを実行して欲しいものだ。

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