ここは飛び込み取材するしかない。
最寄の大阪支店に出向いた。受付カウンターには、あの月刊ヒーローズのバックナンバーが整然と飾られている。名刺を差し出して事情を説明すると、営業担当の方が出てきて、快く取材に応じてくれた。
応接室に通され、目の前に出てきたのは実際に使っているi Padだった。

「ホール様の稼働を上げる、ホール様の役に立つことがフィールズのモットーです。機械を販売することと稼働を上げることを一体化したい。ところが、新台を入れても稼働が上がりにくくなっているのが最近の現状です。機械のことだけではなく、お客様の要望にすべて答えられるようにスタートしたのが、このコンシェルジュサービスです」(大阪営業担当)
入社10年目で70~80社を担当している中堅どころの営業マンだった。大学生時代は、4号機の時代でプロで食って行こうかと思うほど、スロットでは稼いでいたらしい。自動車学校の費用や車はすべてスロットで勝ったカネだった、という。ただ、車は「3万円の中古」というオチまであった。
i Padの画面には次の4つのカテゴリがある。
■設備節電
■販売促進
■人材
■不動産
このカテゴリーボタンを押すと関連会社が次々と出てくる、という仕掛けだ。
例えば、販売促進のボタンを押すとサイト更新システム「Fast Pass」が出てくる。複数のポータルサイトに登録している場合、機械の入れ替え更新作業は面倒で、手間だが、このサイトから更新すれば一括更新できる便利なシステムだ。
「私が担当しているホール様は、出店意欲が強いので、不動産情報に興味をもたれていました。まだ、このページは中身が充実していないので、たくさん宿題をもらいました。これから強化していきます」(同)
スタートして3日目なので、これからというカテゴリーもあるが、ホールの要望に応えることが中身の充実につながっていくのだろう。
コンシェルジュを日本語に直すと「よろず承り係」。最初に登場したのはホテルで、コンシェルジュが宿泊客の要望や相談に乗った。仕事も幅広く、航空券や観劇のチケットの手配から、観光地案内やレストラン紹介まであらゆることを承る職種だ。
顧客一人一人へのきめ細かいサービスが注目され、駅や百貨店、病院など他業界へも広まる中、パチンコホールでもコンシェルジュを常駐させるところもあった。
フィールズがまだ東洋商事時代に取材したことがあった。会社を設立してまだ3年目ながら急成長を続けていた。その原動力となっていたのがコンサルティング営業だった。
「全国の営業マンがお客様から様々な宿題をもらって帰ってきています。その解決策をデータ化したものがコンシェルジュです。昔は機械に関する相談が多かったのですが、今は多岐にわたっています。直近では消費税問題の対応に関心が寄せられています。お客様からの依頼には『NO』といわず、すべて答えられるようにしています。営業マンは担当したホール様がどうやったらよくなるかを提案するツールがコンシェルジュです」(顧客理解推進室)
ホールが抱える問題の解決策となる商品を集めてきて、i Padで紹介することがフィールズの仕事で、紹介手数料を稼ぐことは目的ではない、という。
i Padは全国300人のフィールズの全営業マンに支給されている。i Padに掲載されということは、フィールズの営業マンが各社の営業マンに代わって紹介してくれるので、掲載される会社もありがたい。
日頃からホールの役立つ情報を提供していたら、人間関係の構築はより強固なものになる。機械がこけても、ホールは担当営業に文句を言いづらくなる、と考えるのは穿ち過ぎか。
ホールに役立つコンシェルジュサービスの次は、パチンコ参加人口4500万人に向けて始動した「プロジェクト45」の実現を業界は期待している。
4500万人と贅沢はいわない。
スリープユーザーを呼び起こして、2000万人ぐらいまでは復活させてもらいたいものだ。

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