2011年10月から換金等価から脱却した大阪は、100円の賞品に対して玉は28個~42個、メダルは5.6枚~8.4枚という交換率に統一した。
これは、大阪府警から「1000円相当の賞球玉を1000円(仕入原価)の賞品と交換することは、業界でいう「いわゆる等価」で射幸心を著しくそそるものと思われ、風適法違反の疑いがある。風適法にいう「等価の物価」とは同等の「市場価格」を有する物品で、「市場価格とは一般の小売業における恒常的な販売価格をいう」との発言を受けたものだ。
市場価格とは仕入原価に利益と消費税を上乗せしたもので、100円で仕入れたものは112円から168円で販売されていることに照らし合わせた交換率だった。
この時はさほど消費税問題が差し迫っていなかったが、今にして思えば、先見の明があったともいえる。
奈良県遊協も大阪方式を倣って今年8月1日から等価交換営業の規制に踏み切ったように、消費税対応策としてはこの方式がベターともいえる。
2012年6月から県警の一物一価の指導を順守し、スロットの5枚交換に合わせてパチンコも25個の完全等価に踏み切ったのが福岡県だった。
指導以前はスロット5枚に対して、パチンコは30個や33個で営業するホールが主流だった。一物一価以降は、大半がパチンコ25個を選択せざるを得なかったため、全国平均以上に4円パチンコの稼働低下が目立った。
危機感を覚えた組合が、春頃から動き始めた。
最高の交換率をパチンコ27.5個、スロット5.5枚にすることを理事会に諮った。事前に大手の同意は取り付けていた。従って、スムーズに決議されるものと読んでいたが、意外なところから反対の声が挙がった。
大手との競争を避け、パチンコ30個、スロット6枚交換を実施していたホールからだった。低価交換で客を付ける努力をしているところに、大手が追従すれば差別化が図れなくなることなどが理由だった。
多数決で決めることは簡単なことだった。しかし、理事会は全員の総意を選択した。
一度は消えかけた交換率問題が、再び浮上してきたのは、秋口だった。10、11月の4パチの稼働低下はさらに加速した。
加えて、消費税問題で警察庁が換金時に消費税を上乗せすることにNOを示したことから、換金等価営業では8%は乗り切れたとしても、すぐにやってくる10%時代は乗り切れない公算が強まってきた。
「理想は全員のコンセンサスを得ることですが、来年3月までには変更したい」と関係者。
消費税対応をきっかけに換金等価から脱却するチャンスを業界は与えられた、と捉えるべきだろう。
換金等価営業は、勝ち客には有利な営業だが、100%以上の出玉率で遊ばせことはできない。
40個交換は業界の先人たちが考えたパチンコ遊技の知恵であり、ホール経営の醍醐味だった。
手軽に、安く、長く遊べるのが本来の大衆娯楽としてのパチンコのあるべき姿であったはずだ。
大衆娯楽の方向性で一物一価を遵守するなら、30個の6枚交換あたりが着地点かもしれない。
福岡が27.5個、5.5枚に舵を切れば、九州から大きなうねりとなり、全国に波及するのではないだろうか。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。コメントがエントリーになる場合もあります。