
この条例に対しては、大阪の橋下市長も「罰則付きの義務がないものは意味がない」と切り捨てている他、神戸の弁護士会も「差別の助長」「人権侵害」だとして撤回を求めている。
人口5万人の小野市は、兵庫県でも生活保護費受給者が下から2番目に低い自治体でありながら、なぜ、パチンコ禁止条例の制定なのか? この疑問に対して蓬莱市長はこう胸を張る。
「行政はコトが起こらないとやらない。画一的で、横並びの世界。そこが行政の弱いところ。行政の中にも、市民は顧客と捉え、経営の観点を取り入れ、コトが大きくなる前に先手で手を打つことがベースになっている」
つまり、生活保護費を受給している人の数は少なく、財政的に苦しくて、経費削減が目的ではない、ということで、自立支援を当たり前に行うための先手必勝ということだ。
蓬莱市長は民間出身なので、ことなかれ主義のお役所仕事の壁を一枚破ったということのようだ。
そもそも論になるが、小野市が制定した条例の正式名称は「福祉給付適正化条例」。パチンコ禁止条例というタイトルではない。
それをメディアが「パチンコ禁止条例」と勝手につけたことから、問題がどんどん大きくなった。
生活保護費でパチンコをしたら、即、支給を停止するというものでもなく、ケースワーカーと話し合いながら、それでもギャンブル=パチンコに浪費するようであれば、支給をストップする。
条例では生活保護を受けている人がパチンコ店で遊んでいたら通報の義務があるために、監視社会を助長する。引いては地域のコミュニティーが崩壊する、ということで小倉キャスターは蓬莱市長に突っ込んだ質問をした。
その前に生活保護受給者の「パチンコ店に出入りはしていないが、どっかで監視されているようで、肩身が狭くなる。生きている楽しみがなくなる」との声を流した。
これに対して蓬莱市長は「監視社会ではなく、見守る社会」と否定した上で、条例が制定されて早速「是非生活保護の対象にして欲しいという声が届いた。見守る社会の効果が出た」と改めて監視社会ではないと反論した。
小倉キャスターは「問題にもなっていないのに条例化することが分からない」と食い下がったが、蓬莱市長のこの一撃に反論もできなかった。
「(問題が起きてから行動する)だからダメなんです。いわれてやるのはダメ。なぜ、先手管理をしないのか? それをやるのがリーダー。小さな市がやれることをやる」
小倉キャスターを始めコメンテーターが蓬莱市長をやりこめるつもりだったようだが、完全にやり込められてしまった。
最後は「生活保護問題に皆が関心を持ったことはいいことです」と〆るしかなかった。
要は生活保護受給者は浪費をしてはならない、ということだ。支給日にパチンコするということは、中には不正受給者もいるわけで、その辺は是正しなければならない。
メディアが悪意で付けた「パチンコ禁止条例」という言葉が独り歩きする中で、とくダネが「パチンコが悪だ」と偏向報道に向かわなかったことは一つの救いである。

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