そういう思いに駆り立てられたのは、かつてパチンコを打っていたが、今はすっかりパチンコを辞めた人を何十人も対面調査して、今のパチンコを遊技してもらった結果を聞いたことによるものだった。
かつてパチンコの経験のある人が、「玉の出し方が分からない」と最初の段階から躓いている人が結構いた。
打ち始めても難しすぎてよく分からない。玉はどんどんなくなり、2000~3000円があっと言う間に消えた。止めを刺したのが意味の分からないボタン。これにパニクッて「やっぱり止めた」と再びパチンコを打つことを断念した人の方が多数だった。
一度パチンコを離れた人たちから見てもパチンコはものすごく敷居が高く、おカネもかかる遊びになっていた。
「昔やっていた人が再チャレンジできなかった。団塊の世代の人は年金生活で預貯金も一番持っている。彼らに気軽に戻ってもらえる機械を作ることが先決。今から20年前の機械と設備の店があったら、絶対に満台になる」
当時は1円パチンコという概念すらなかった。
4円で楽しめていた、ということはお客の懐をそんなに痛めることなく遊ばせることができていた。当時4円しかなかったのは、景気の問題だけではない、ということだ。
「パチンコが面白くなくなったのはセブン機オンリーになったことが最大の原因。映像の表現力ばかり競いあっている。そのために、より凝った映像を作りこむようになったが、それが間違った方向へ突き進んでいる。攻略誌で事前に勉強しなければいけない機械そのものが本末転倒。その結果、ヘビーユーザーに支えられるいびつな業界構造になった。ライトユーザーに支えられる業界に方向転換させるのは、やはりメーカーの責任」
パチンコを辞めた50~60代の人は「昔のような機械があれば打つ」という意見が大半だった。
玉がすぐになくなるのは、等価や高価交換営業が主流になったためで、20年前は全国一律に40個交換が主流で、四国の一部で等価が始まった頃でもある。
「等価交換は勝った時には嬉しいが、それは一時的なもので釘が閉まるだけ。時間をかけて遊ぶものではなくなっている。40個交換だから出玉感を演出できた。等価はパチンコのいい文化をすべて捨ててしまった。3000円で2~3時間遊べる機械があれば、打つ、という人が多い。そこに新たな需要がある。そんな機械で1割でも戻ってくれば業界は変る」
このトップが目指す機械は、勝っても2~3万円の機械。これならのめりこみ過ぎることもない。
パチンコは設備産業ともいわれ、とにかく設備投資におカネがかかる産業になっている。メーカーはこの機械を入れなければ、お客さんを他店に取られる、と不安を煽る「不安産業」になっている側面もある、と指摘する。

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