店舗展開できたのは4号機のパワーで、そこに営業ノウハウはなかった。
そのツケが出てきた。
稼働が一向に上がらない店舗を閉めることになった。
一時は業界からの撤退も視野に入っていた。
何より、社員が育っていない。
オーナーの考え方は「出せば客が来る」。この一点張りで、4号機時代はこれでやってきた。
4号機時代はどのホールも儲かった時代で、ノウハウも必要としなかった。
1店舗だけ外部のコンサルタントに運営を任せることにした。成功すれば順次任せる店舗を増やす予定だった。
オーナーは任せた以上、一切やり方に口出しはしないことを条件にした。
一からの再スタートにコンサルは社員やスタッフを募集して、理念作りから着手した。
その結果、決まった理念は「全員が幸せになる」。ホールの目標は地元のお客さんとのコミュニティを目指した。
スタッフには接客教育を一から施し、オープン日に向けて徐々にモチベーションを上げて行き、グランドオープン時にそれをピークに持って行った。
最高のチームが出来上がった。
しかし、オープン日にそのムードも一気にしぼむ事態が発生する。
今まで、口出ししなかったオーナーがオープン日を境に、これまで黙っていたことを一気に発散させるがごとく、自らが指示を飛ばし始めたのだ。
「満台になるまで、店を開けるな。外で整理券を配って客を集めてこい」
開店時間を明示しているのに、今さら、時間をずらすことはできない。現場にはいきなり動揺が走った。
「会員をとにかく増やせ。遊技中の客にどんどん声を掛けろ」と現場スタッフに直接指示を飛ばした。店長の存在も無視。
1日5~6回も会員入会の声を掛けられたら、客もスタッフも嫌になるというもの。
私生活を交えたほんわかムードのスタッフブログも「出玉ブログに変更しろ」。
お客さんとのコミュニティーを目指していた店作りを否定されては、現場のモチベーションは一気に下がる、というもの。
オープン期間は「出玉で勝負」といわんばかりに、出し続けた。
ところが、出玉営業を平日営業に戻っても続けることはできない。平日営業に戻った途端に客足は一気に遠のき、元の木阿弥に。
オープンと同時に今までのやりかたに戻っただけだった。
このやり方がダメだったからやり方を変えたはずなのに。
トップの考え方や行動が変わらないと会社は変わらない典型だ。

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