遊技人口を増やすための業界全体に関わる提案なので、本来は組合が先頭に立って行動すべきなのだが、そんな気配は感じられない。
もたもたしているパチンコ業界を尻目に、中国人をはじめとする外国人観光客の取り込みを本格的に始めたのが住之江競艇場だ。

理由は競艇業界の売り上げの大幅減。日本人だけを対象にしても少子化で競艇業界に未来はない。パチンコ以上に競艇のイメージは悪いので、若い女性も寄り付きにくい。
それならば、外国人観光客、中でもギャンブル好きの中国人富裕層に競艇を楽しんでもらいた、という目論見である。
中国系の旅行代理店の担当者も「中国にはない観光として、ビジネス客の接待にニーズがあるので、ツアーとして扱ってみたい」と意欲的だ。
パチンコ店と違ってVIPしか入れない特別室などもあるので、中国人の団体客が大声で騒いでも他の観客の迷惑にならないなどの利点が競艇場にはある。
レースは6人で着順を争う。

1号艇が白、2号艇が黒、3号艇が赤、4号艇が水色、5号艇が黄色、6号艇が緑、とジャケットの色が決まっている。
レースは左回りに3周(1周600m×3=1800m)する。時間にして2分弱の勝負だ。
レースは内側のポジションが一番有利なので、1号艇から順に内側に並んでいく。スタートは加速をつけて5,4,3,2,1,0でスタートするフライング方式。外側に位置する4号艇、5号艇、6号艇は助走距離を大きくとるため、後ろの方からスタートする。内側有利の1号艇が一番助走距離が短い。

スタートラインが選手には見えないが、フライングしても失格になるだけでなく、出遅れても失格になる。スタートで最初のコーナーを制した選手が断然有利となる。
エンジンは同じ排気量なので、直線で順位が変わることはない。コーナーで着順が変わるところがボートレース最大の見せ場だ。
舟券は1枚100円から。2連単がオーソドックスで1着、2着を予想する。6人で走るので2連単でも30通りしかない。公営競技の中では、一番当たりやすいのが競艇でもある。つまり、競馬のように大きな波乱はない。
競艇は男女年齢に関係ない混合レースであるところも面白い。競輪のように体力差が勝負の決め手にならないからだ。下は10代から、上は60代の選手が一緒に走る。
競艇は選手の技量が問われるレースで、選手のランキングはA1,A2,B1,B2の4ランクある。勝率が選手の強さで、A1が最も強い選手となる。
選手には体重制限がある。平均体重は50キロ。体重が軽いほうが有利なので、50キロ未満の選手は体重を合わせるためにオモリを付ける。
スタートによって勝負が決まるようなものなので、平均ST率も予想の目安となる。数字は低いほどスタートが早いことを表している。内側有利の1号艇の勝率は35~40%。
レースはA1とB2の選手が一緒に出走する。では、A1とB2選手の技量の差をどこで埋めるかというと、モーターだ。
モーターは抽選で決め、レース開催日の6日間は同じモーターで走る。
モーターの調子によっても勝率に影響を及ぼすので、選手の勝率と、モーターの調子を見比べながら着順を予想する。
選手が唯一持ち込めるのがプロペラ。支給されたものを、自分なりに叩いてプロペラの曲げ具合などを調整していく。
ざっと競艇について書いてみた。
外国人向けナイトツアーには、一般の人は入れないピット見学もあるので、競艇をより身近に感じることが出来る。

こうやって競艇のことを書いていると、中国人観光客をターゲットにするなら、パチンコ店より競艇に分がある。
しかし、パチンコ業界とて住之江競艇の動きをただ指をくわえて見ておくわけにはいかない。
行動しなければ何も変わらない。

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