お年寄りを集客するために、椅子を畳張りにしたり、茶菓子やマッサージチェアーサービスなどを行っている。お年寄りが孫の子守にもゲーセンを利用していたりする。
居場所を求めてお年寄りがゲーセンに集まるのは、都会の話であって、ゲーセンのない地方となると状況はまた違ってくる。
ここは雪深い東北地方のとある県。タクシー運転手の通称かめちゃんの朝は、馴染み客の家を1軒ずつ回ることから始まる。
冬場ともなると、お年寄りの足にタクシーが欠かせない。
かめちゃんは、おばちゃんの家を4軒回って、一人ずつ拾って行く。
4人を乗せたところで向かう先は、地元のパチンコ店である。朝の開店時間と共に4人のおばちゃんたちの1日がこうして始まる。
お小遣いがある時はパチンコに興じることもあれば、そうでない時は、休憩コーナーの椅子に腰を下ろし、仲間のお年寄りたちと世間話に花を咲かせる。
かつてはお年寄りたちの社交場といえば、病院だった。
最近姿を見ないと「病気で来られない」と笑い話もあったほどだが、医療保険の改正などで、手軽に行くことができなくなった。
そして、お年寄りたちが新たな社交場として選んだのがパチンコ店だった。
冬場の雪国は家にいるだけでも1日中暖房代がかかる。加えて一人で家にいるのも寂しい。ボケる原因にもなる。
それなら暖房代もかからず、話仲間のいるパチンコ店がお年寄りたちの憩いの場となっている。
夕方まで1日パチンコ店で過ごすので、おばあちゃんたちは皆弁当持参である。
そこには、田舎ならではのほのぼのとした光景がある。これこそが地域に根ざした町のパチンコ屋さんの姿でもある。
中にはお嫁さんが運転する車でパチンコ店に届けられ、夕方迎えにくるケースもある。
家で一人にしておくよりも、その方が安心だからだ。
タクシー運転手のかめちゃんにも、朝晩の送迎は固定した仕事になっている。かめちゃんは毎日のことなので、おばあちゃんたちが利用しやすい料金体系に変えた。
距離料金制から一人一律500円にした。4人だから1回2000円。往復で4000円の水揚げが見込める。
おばあちゃんたちが、わずかだが地域経済を回している。

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