パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

立ち直り日記vol.6

環境が変わるのは早かった。



社員は常に戦々恐々。無気力だったスタッフは徐々に積極性を持ち始めた。



今まで優遇(?)されていたスタッフは、後ろ盾を無くして背中を丸めている。



多少宗教じみているとは思うが、今考えられるベストを行ったつもり。



だが、新しい統治者の登場には多少の演出は必要。ドラスティックであればあるほどインパクトは強い。時間が無いので強行的に誤魔化すためでもあるが。



程なくして社員に対してヒアリングを行った。



近況を聞いてみた。



「どうしてアルバイトにこちらから挨拶をしなければいけないのか」



「アルバイトへの口調を注意されるのでやりにくい」



そう、文化作りの手始めは「挨拶」。それも社員から率先するように厳命した。そして、勤務中の口のきき方も上から言う事を禁じた。



困惑している様子。ここで始めて種明かしをする。



「いいですか、アルバイトはお客様なんです」



「えっ!」



社員3名が目を剥いた。久しぶりの感情表現である。



と言うのも私が師匠から教わった最も共感できる概念の一つで、(当然自分テイストにはなっているが)遊技客=顧客、業者など=顧客、スタッフ=顧客なのである。



便宜上お客様とは呼ぶが、その顧客の中に優良客と不良客がいる。その見極めを行い、対応していく、という考え方。



遊技客にも業者にもスタッフにも同じように考えるので、頭から甘やかすという意味ではない。



アルバイトは、特に労働環境で離職を考える。遊技客も同じ。業者も同じ。



その組織に必要であれば、新台やイベント、サー ビスでつなぎ止める必要がある。



アルバイトへは福利厚生や情操教育。業者へは支払条件や、無理を言わないなど。



現状は違う。アルバイトには上から命令。逆らえば「お前には責任がないのか」



業者にも居丈高。



「そんな事じゃ困るんだよね!」

「こっちは金払っているんだ」



そんな事では誰にも助けて貰えない。



我々の施策が無力化しないよう、「洗脳」は続く。



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トミナガ氏の講演その⑥客が店から離れない心の割数

かつて平和の中島会長が「出し過ぎて潰れる店はない」といっていたが、時代が変わると出し過ぎて潰れた店もあれば、出さないで潰れた店もある。



トミナガ氏は「要は上手に出さなければならない。出しているというよりも出しているように見えるようなテクニックが大事」という。



では、そのテクニックとは箱をたくさん積んで出しているように見せかけるのか? 



「その方法が悪いとはいわないが、体感割数の時代はもう終わっている。出玉を積まない店では体感割数は通用しない」と言い切る。



そこでトミナガ氏が提唱するのが「心の割数」。別名「心の愛テム」とも呼ぶ。



「これは精神論ではない」と断言する。



愛知のホールではカウンターの下に常備薬を置いている。ある時年配の女性客が「頭が痛い」といって席を立ってトイレに向かった。それを察知したスタッフがすぐに頭痛薬を持ってトイレまで向かった。



薬を飲んだ客は「じゃ、もうちょっとだけ遊んで帰るわ」と結局、その後1万円あまり使った。



帰り際にそのスタッフにこう声をかけた。



「今日はありがとう。また、明日来るからね」



そして、本当に翌日もそのおばちゃんは来た。



「心の愛テムは、心なので方法は無限に、無尽蔵にある」



この店で開かれるトミナガ氏の勉強会にはコーヒーレディーも参加する。まったく別会社だが、勉強熱心の表れ。



このコーヒーレディーたちは、客の好みを覚えていて、注文があると「いつものですね」とさっと出す。だいたい150人分の好みを頭に叩き込んでいる。



さらに、女性スタッフの一人に「苦情大好き人間」がいる。年は24歳。複雑な家庭の事情で若いのに、鹿児島から出てきて札幌の牧場で働いた後、東京、千葉、静岡、大阪のホール勤務を経て現在のホールで働くことになる。



彼女のキャッチフレーズは「見返りのない愛を与える」こと。



お客から苦情があると率先して飛んで行き、問題を解決していく。その処理の仕方を皆が見習っている。



苦情を解決できたお客はその店から簡単には離れない。心の割数を政策化したもので、決して精神論ではない。



「店長やスタッフをお客様に惚れさせること。そうすると出玉があるないではない。心の中に出玉感が残る。これこそが心の割数です。新台を入れては抜いて、また新台の入れ替え。抜いて入れ替え、抜いて入れ替えは、お客様ももう、うんざりです」



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パチンコ業界から他業界へ転職することの壁

パチンコ業界から足を洗ったのが2年ほど前だった。



再就職先は業界とは関係のない社員研修会社。ただし、身分は契約社員だった。契約更新は半年毎に行われる。



その第1回目の契約更新で「仕事が激減したので」という理由で、あっさりと首を切られた。



現在は再び求職活動を始めている。4カ月の間に40社あまり応募した。最終面接まで行ったのわずかに1社。



東京の一流私大を卒業。中途採用で機械メーカーに勤めていた。



「パチンコ業界は相手の言葉の端々から、軽く見られているのを実感する。メーカー出身といっても『パチンコ、パチスロでしょ。しょせんはギャンブル好きの集まり』と。メーカーが流すテレビCMを見てパチンコ業界は濡れ手に泡で儲かっていると思っている」と堰を切った。



最終面接まで行った会社は新規事業を立ち上げるにあたって、ホール経営者と太いパイプを持っている人間が欲しいだけだった。経営者の考えが性に合わなかった。



「パチンコ業界にいた経歴が他業界へ行くことを難しくしている。パチンコ業界で働いている人にアドバイスしたいが、長く勤めることを覚悟したほうがいい。5~10年もパチンコ業界にいたらしんどい」



以前、パチンコ日報で「ホールでバイトしたらブラックリストに載る?」というエントリーを書いたことを思い出す。



転職相談セミナーを3回ほど受講した。講師3人が口を揃えるのが「趣味の欄は何かにつながることがあるので、どんどん書いたほうがいい。ただし、パチンコだけはダメ」と釘を刺す。



飲食業界がコピーライターを募集していた。コピーライター経験はないが、電話したところ「パチンコのライターはいらん」とぴしゃり。



「まともな業界とは思われていないことを実感する毎日。飯を食うために再びパチンコ業界に戻るか、正直ジレンマに陥っていますわ」



業界に戻りたくない理由は、業界は持続しても成長することは100%ないと考えているからだ。



「いかに衰退を穏やかにするしかない。ゲームもインターネットではタダでできる時代。そういう意味ではパチンコは時代錯誤。退職後もパチンコを楽しめるのも団塊の世代まで。年金生活で裕福な年寄りも後10年もするといなくなる。パチンコは社会の発展には貢献していない。ファンを増やすことは地獄の世界へ引きずりこむようなもの。一般サラリーマンなら1円パチンコですらできない」



求職活動をしながら昼間はスポーツクラブに通う。



昼間のスポーツクラブは、プールサイドやサウナの中で、じいちゃん、ばあちゃんのコミュニティーができている、という。



「1カ月一番高い会費でも1万円。これでほとんどの無料レッスンが受けれて、風呂は入り放題。健康的で精神的にもいい。パチンコなら1万円は30分と持たない。1万円あれば1カ月毎日楽しめる。そういうことにも気づかないお年寄りはパチンコ依存症」と切り捨てる。



パチンコは固定費がかかり過ぎているので、他のレジャー産業と比べて競争力が落ちていることは、スポーツクラブの例を見るまでもない。



パチンコ業界へ入ったからには骨を埋める覚悟がいる、ということを彼はいいたかったようだ。



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ホールよりもメーカー志望の大学生就職戦線

現在の遊技場の数は約1万2000店舗。



平成7年の1万8244店舗をピークに4号機撤去後は、つるべ落とし的な減少だ。



昭和28年、機関銃式パチンコが登場した頃は、約3万店舗の遊技場があったが、連発式やオール20の禁止などで一気に減少した。



パチンコ業界の隆盛は、規制との関わりが深いことをお客様も業界人も分かっている。



先日の「消費者金融とスロット業界」のエントリーは、私の周囲では反響が大きかった。



友人の子供A君は、ことし大学を卒業予定だったが、結局、就職が決まらないために卒業を1年延期した。



A君は東京の準一流大学の経済学部。



本来就職したい業界に内定が得られなかったため、熟考した結果の結論だった。



第一志望ではないが内定をもらったのが、パチンコホール業界だった。



A君によると、パチンコ業界を就職先に考えた学生は、ものすごく多かった、という。



ただし、ほとんどが遊技機メーカー関連企業。



で、ホール企業を選択するのは、本命から内定がもらえず切羽詰った学生に多かったようだ。



A君の大学の就職率は87%。



しかし、ほとんどの学生は、会社の規模や業界に納得しているわけではないようだ。



A君は家庭環境に恵まれているため、就職に妥協しない学生生活をもう1年続けることができた。



しかし、経済的な理由でそれができない人が大半だ。



いまの就職戦線は、大学3年生の時から開始される。従って、今年卒業した学生はまともにリーマン・ショックを受けてしまった。



私の友人とその親は、ある大手の元社員と社員である(その会社の業界は大手が2社しかないのでここでは書けない)。世界的な企業である。



その子供B子さんは、来年大学卒業予定だ。



実は役員推薦でその会社に入社したいと考えていたのだが、その夢は完全に消えた。



A君やB子さんをはじめ、両名の友人などから、この1年間で10人以上の学生からパチンコ業界について質問を受けた。



昨年閉鎖した私のブログにも書いたので、こちらの読者の一部の方はご存知だと思うが、昨年の夏、学生のための就職セミナーで、講師として話した経験がある。



担当教授の人脈から、各業界の講師が招かれた。



私の担当は「パチンコホール企業」と「自動車ディーラー」だった。



この時、パチンコ業界関係者では、メーカーの人がいた。



次回は、学生が苦悩した就職活動について書きたいと思う。



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