トミナガ氏の元へ来る依頼は悲惨なケースが多い。
300台弱の郊外単独店。1日の売り上げは70万円。新台を買うお金はもちろん、中古機代さえもままならない。
こういうケースでは、オーナーに「やるか」「やらないか」の決断してもらうことから始めるのが常套手段で、死ぬか生きるかの勉強会を5~6時間やった。
社長はプライドを捨て、生きるためにトミナガ氏に賭けた。
少しだけ業績が上向いてきたとき、オーナーは従業員を引き連れて食事会でも開こうかと思ったが、トミナガ氏はぴしゃりと止めた。
「まだ、早いです。近くのコンビニで酒を買ってきてホールの食堂で和気藹々とやりましょう」
さらにトミナガ氏はこう進言した。
「売り上げを安定させたいのなら、社長が事務所に布団を持ってきて寝泊りしてください。その覚悟はありますか? 苦しい時こそ寝食を共にするものなのです。そうすることで従業員の気持ちも分かり、ホールの現状がよく分かるようになります」
「うん? 何をいうんだ!」とオーナーは訝ったが実行に移す。
ある会議で班長が遅刻したことがあった。
社長は店長に「お前の日ごろの指導が悪いからだ!」と叱責しはじめた。それをきっかけに社長は思いの丈を吐き出した。
店長はうつむいたまま聞いていたが、おもむろに口を開いた。
「稼働が上がらないのも私のせい。班長が遅刻したのも、スタッフから信頼性がないのもすべて私のせい。自分を入れ替えます」と大粒の涙を流し始めた。
ここで社長の一言が大きかった。
「男の涙を安くしたらアカン。班長、店長分かったか」と社長も目を真っ赤にして訴えた。
決死の覚悟が決まった瞬間であった。
それからあらゆる数字を見直し、イベント一つも皆が企画書を書いて、真剣に会議するようになった。
700万円の店が800万円に売り上げを上げるのはそう難しいことではないが、70万円の店を半年で147万円にするには、社長を始め、全員が本気になって変わらないことには達成できない。
弱小店舗ではトップの気持ちが変わらないことには、何も変わらないことの手本でもある。
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トミナガ氏の講演その⑤70万円の店が半年で147万円の店へ
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