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遊技機メーカーの未来戦略~倒産確率と生存の道筋

2020年5月、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、星野リゾートは社内で倒産確率を公表した。その確率は約40%とされている。なぜこのようなネガティブな情報をあえて発表したのか。それは、宿泊客の激減という厳しい経営環境の中で、社員一人ひとりが経営の現状を把握し、最適な判断を下せるようにするためであった。

星野代表は、会社が危機に陥ったときこそ、経営情報を正直に伝えることで、社員の主体性を高め、組織としての強さを増すことができると考えた。

倒産確率の算出方法は、売り上げの前年比、コスト削減額、資金調達の可否といった3つの要素に基づき、それぞれ3つのシナリオを設定し算出された。その結果、売り上げが大幅に減少し、コスト削減が不十分で、資金調達が困難な場合に倒産確率は上昇することが明らかになった。

しかし、2021年10月には、GoToトラベルの効果や新たな観光需要の開拓により、倒産確率は約10%まで低下した。マイクロツーリズムや独自の魅力創出などの取り組みによって、社員の動きがさらに活発化し、会社の経営基盤は強化されていった。

ここまではあくまでも前置きである。ここからが本題だ。

遊技機メーカーが、自社の将来について同様のシミュレーションを行った。現在、パチンコ業界の市場規模は14~15兆円と推定されるが、最盛期からは半減している。それでも依然として巨大市場である。しかし、業界の市場規模が5兆円を下回ったとき、業界全体の存続にかかわるターニングポイントが訪れる。特に大手ほど、倒産確率が急上昇することが判明した。

このシミュレーションによると、20年後の倒産確率は50%、30年後には100%となる。これは衝撃的な数字だが、20代の社員が50代になる頃には会社が消滅する可能性があるという現実を示している。50年後であれば、そもそもパチンコ業界自体が存在しないかもしれない。

では、遊技機メーカーが生き残るためには何をすべきか?

最も効率的な手段は、新規事業の立ち上げではなく、すでに成功している事業の買収である。その中でも、有望視されているのが観光業への進出である。
観光業と一口に言ってもその領域は広いが、遊技機メーカーが特に注目しているのはLCC(格安航空会社)の買収である。航空機需要は今後も拡大すると予測されており、LCCを経営基盤の中核に据えることで、遊技機メーカーは長期的な安定を確保できる可能性がある。

すでに山佐を筆頭に、一部のホール企業は航空機リース事業に進出している。しかし、航空会社自体を買収するとなると、さらにスケールの大きな戦略となる。LCC事業を成功させることで、30年後の倒産を回避できる可能性が出てくる。

さらに、遊技機メーカーは農業分野への進出も視野に入れている。日本の食糧自給率は極めて低く、将来的な食料危機への対策が求められている。遊技機メーカーが農業に参入し、国内の食糧供給を支えることで、新たな事業の柱を確立することができる。

このように、遊技機メーカーの未来戦略は、多角化が鍵を握る。LCCの買収と農業分野への参入により、現在の危機的状況を打破し、持続可能な事業モデルを築くことが求められている。

パチンコ業界は、これまで幾度となく規制の強化や市場縮小に直面してきたが、今後の生存戦略としては、既存の遊技機事業に固執するのではなく、新たな成長分野への投資を積極的に進める必要がある。遊技機メーカーは、星野リゾートのように危機をチャンスに変えることができるのか。その答えは、今後の経営判断にかかっている。




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