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高騰する建築費で再開発ビルとホール建設計画の“未定”という現実

東京・新宿駅南口の再開発に伴い建設が予定されていた高層ビルが、施工会社の決定が難航している影響で、着工できない状態が続いている。当初は3年後の完成を見込んでいたが、現在ではその時期すら「未定」となっていることが明らかになった。

原因は明確だ。建設資材の高騰と深刻な人手不足。この二重苦により、複数のゼネコンがプロジェクトから手を引き、施主側が施工会社を確保できない状況に陥っている。

この高層ビルは、2023年12月から着工する予定だった。しかし、施工業者の決定がつかず、工事は未だ開始できていない。結果として、当初掲げていた2028年度の完成予定も白紙となり、「いつ完成するか分からない」状態に変わってしまった。

建設業界におけるコスト高騰の波は、何もこのプロジェクトに限った話ではない。記憶に新しいのは、「大阪・関西万博」のケースだ。国家プロジェクトとして進められているこのイベントでは、当初1250億円と見積もられていた会場建設費が、資材高と人件費の影響で約1.9倍の2350億円にまで膨れ上がり、大きな批判を招いた。

もっとも、万博は国策事業であり、税金の投入によって強引にスケジュールを死守することができた。しかし、民間主導のプロジェクトではそうはいかない。採算の見通しが立たなければ、工事は止まり、計画は白紙になる。それが現実だ。

このような影響は、パチンコ業界でもホール建設計画にも波及している。実際、首都圏では1000台規模のホールの新店プロジェクトが進行していた。土地が限られているため、駐車場は建屋の上に自走式立駐を設ける予定だったが、見積もりが当初予算の1.78倍に達し、結果として計画は白紙になった。

首都圏は人口密度が高く、集客の面では地方よりも優位であるため、本来ならばホール経営において安定性が見込まれる地域だ。しかし、建築資材や人件費の高騰は、そうしたポテンシャルすら吹き飛ばすほどのインパクトを持っている。

加えて、ホール業界は新台の入替や広告宣伝規制など、経営を取り巻く環境が年々厳しさを増している。こうした中で大型店舗の出店を行うには、莫大な初期投資だけでなく、長期的な収益性への確信が求められる。

また、建設コストの上昇は既存ホールのリニューアル計画にも影響している。外装や内装を刷新するにも、コストの回収が難しく、結局、現在の建物で営業できるまで営業して終わり、というホールが多く見られる。

「建てたくても建てられない」

それが今の現場の実情であり、設備投資を前提にした中長期の成長戦略にも深刻な影を落としている。



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