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床を有機ELでホールを演出するという夢

中国・河北省邯鄲市には、足元がガラス張りになっているスリル満点の吊り橋がある。海抜1180メートルという高さから見下ろす風景だけでも足がすくむが、この橋にはさらに衝撃的な仕掛けがある。橋を歩くと、足元のガラスにヒビが入っていくのだ。実はこれは液晶ディスプレイに映し出された演出で、人体を感知するセンサーと連動して、割れるような映像が流れる仕組みになっている。実際に割れているわけではないが、そのリアルさに大の大人も思わず悲鳴を上げるほどだ。まさに“恐怖を楽しむ”ためのアトラクションである。



このユニークな仕掛けからヒントを得て、「ホールの床に液晶ディスプレイを導入できないか?」と考えたホールがあった。ホールの床には、よく見ると機種ごとのコーナー案内を示すフィルムが貼られている場合がある。それを静的なものではなく、動的に、さらには視覚的に訴求力のある形に変えられないか。つまり、床そのものを“演出媒体”として活用するというアイデアだ。

そこで着目されたのが「有機ELフィルムディスプレイ」だった。これは液晶ディスプレイと異なり、自ら発光する有機物を使った表示技術で、非常に薄く、軽量でありながら高い色再現性を持ち、省電力性にも優れるという特徴を持つ。また、フィルム状であるため、曲げたり丸めたりすることも可能な“フレキシブルディスプレイ”として、次世代の表示デバイスとして注目を集めている。ポスターの様に気軽に壁に貼ることもできる。

これをホール内の主だった動線やコーナー導線に沿って設置すれば、来店客の目を惹きつけ、誘導効果も期待できる。例えば、「新台入替」の告知が床でアニメーションとして流れたり、特定のコーナーへ歩くと光の演出が追従したりと、さまざまな可能性が広がる。

実際、500台規模のホールで導入を試算したところ、費用は約2億8000万円。決して安くはないが、話題性も抜群で、施工後にはパチンコ業界のみならず、テレビなどメディアで大きく報道されることも見込まれていた。

しかし、この革新的な計画は最終的に断念されることとなる。理由はコストではなく、「有機ELの寿命」と「メンテナンス性」にあった。

有機ELは理論上、1日8時間の使用で約10年程度の耐用年数とされているが、パチンコホールでは稼働時間がさらに長くなることが多く、劣化が加速する恐れがある。また、ホールでは毎日の床清掃が欠かせないが、有機ELフィルムは傷や水分に弱く、通常の清掃作業に耐えられないという問題も浮上した。

結果として、この挑戦的な取り組みは「計画止まり」となってしまったが、それでも業界における未来の店舗演出のヒントとして、多くの人にインパクトを与えたのは間違いない。技術の進化とコストの低下が進めば、いつの日かこのようなビジュアル演出が実現する日が来るかもしれない。



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