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【選挙総括コラム】「ホール1軒あたりの得票数」からみた業界の“協力度”の地域差

       

ハンドルネーム「選挙ウォッチャー」氏が先の参院選を総括する。

以下本文

2025年の参議院選挙で、遊技業界から擁立された阿部やすひさ氏。業界内では「団結して支援を」と呼びかけられたが、ふたを開けてみれば当選ラインには届かなかった。では、その協力度は本当に全国に行き渡っていたのか。

 

 

本稿では、「都道府県別の得票数 ÷ ホール軒数」というシンプルな数式、すなわちホールあたりの得票数(以下、ホール投票率)に着目し、地域ごとの実態を炙り出した。

以下の表は、各都道府県ごとのホール軒数と得票数を並べたものだ。ホールの多さと得票が比例するなら、業界が一枚岩で動いた証となるが、実際はどうだったのか。

この数字を都道府県別に見ていくと、業界内部の温度差や組織力の濃淡が垣間見えてくる。

 

  得票数 ホール軒数 ホール得票率
北海道  3,484 354 9.8
青森県 823 93 8.8
岩手県 564 88 6.4
宮城県  1,901 146 13
秋田県 465 84 5.5
山形県  784 64 12.2
福島県 1,039 140 7.4
茨城県 1,710 178 9.6
栃木県 1,359 111 12.2
群馬県 1,107 102 10.8
埼玉県  5,061 329 15.3
千葉県 4,238 274 15.4
東京都 8,747 519 16.8
神奈川県 5,678 359 15.8
新潟県 806 111 7.2
富山県 459 53 8.6
石川県 457 56 8.1
福井県  489 57 8.5
山梨県  836 44 19
長野県 1,317 117 11.2
岐阜県 1,528 100 15.2
静岡県 2,889 196 14.7
愛知県 5,770 365 15.8
三重県 1,203 88 13.6
滋賀県 466 73 6.3
京都府 1,087 113 9.6
大阪府 3,424 469 7.3
兵庫県 2,699 267 10.1
奈良県 524 52 10
和歌山県 336 56 6
鳥取県 454 44 10.3
島根県 787 52 15.1
岡山県  2,607 95 27.4
広島県 3,892 187 20.8
山口県 933 84 11.1
徳島県 666 46 14.4
香川県 935 61 15.3
愛媛県 1,722 88 19.5
高知県 453 61 7.4
福岡県 5,551 265 20.9
佐賀県 1,097 49 22.3
長崎県 1,511 100 15.1
熊本県 1,614 111 14.5
大分県 965 90 10.7
宮崎県 875 82 10.6
鹿児島県 2,090 160 13
沖縄県  966 70 13.8
合計 88,368 6703 13.1

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■ 全国平均は「13.18票/ホール」

阿部氏の得票総数は88,368票、全国のホール軒数は6,703軒。この数字を基準にすれば、1店舗あたり13票程度が平均的な協力度ということになる。

 

このラインを基準に、以下では都道府県別のホール投票率をもとに、「高協力エリア」「低協力エリア」「特徴的なエリア」の3つに分類して分析する。

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◎ 高協力エリア(ホール1軒あたり20票以上)

 

都道府県 ホール投票率 特記事項

 

岡山県 27.45 全国トップ。地域ぐるみの組織力が際立つ

佐賀県 22.38 小規模県ながら圧倒的動員。地場大手の影響か

広島県 20.82 岡山と連携?中国ブロックの一体感が見える

福岡県 20.94 九州最大エリア。組織票の結集が功を奏した

愛媛県 19.57 四国で突出。業界内のキーパーソンが動いたか

 

岡山、福岡、広島、佐賀といった西日本の中核エリアでは、まるで地元候補を支えるかのような協力体制が築かれていた。単に数の論理ではなく、「業界としてまとまった意思表示」が感じられる数字である。

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△ 低協力エリア(ホール1軒あたり7票以下)

 

都道府県 ホール投票率 特記事項

 

秋田県 5.54 東北の中でも最低水準

和歌山県 6.00 関西では唯一の“低温地帯”

滋賀県 6.38 近畿で孤立か。情報共有に課題?

石川県 8.16 北陸エリアも軒並み低調

 

これらの地域では、業界団体による支援要請が徹底されていなかった可能性がある。また、ホール数自体はそれなりに存在するものの、支援の“実行部隊”が動いていなかった印象を受ける。

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▲ 特徴的なエリア分析

 

• 東京都(16.85)

さすがの高水準。ホール密集地帯での動員が功を奏した。情報伝達や機動力のある都市型企業が主導か。

 

• 大阪府(7.30)

意外なほど低い。ホール数は全国屈指だが、1軒あたりの動員は全国平均を大きく下回った。協力体制の分断、または“空白地帯”が広がっていた可能性がある。

 

• 神奈川県(15.82)・愛知県(15.80)

いずれも大票田でありながら、高水準のホール投票率。有力チェーンの本社が多く、全社的な投票呼びかけがあった可能性もある。

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■ 総括:業界の「一枚岩」にはまだ遠い

 

今回の選挙は、遊技業界にとって組織力の見直しを迫られる機会となった。特に、西日本エリア(岡山・広島・福岡・佐賀)での突出した数字は、地域単位での団結が有効であることを実証している。

 

一方、東北・北陸・近畿の一部では、連携の希薄さが票数に如実に反映された。ホール1軒あたりの協力度にこれほど差が出るということは、情報伝達のばらつきや、支援体制の構築に大きな温度差があった証左だ。

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■補足的考察:組織の“関係性”が票になる時代

阿部恭久氏が立候補したのは比例代表。つまり、全国の業界関係者にとって“自分ごと”の候補だったはずだ。それにもかかわらず、投票が集中したのは、「候補者との距離が近い地域」に限られた。

 

これは裏を返せば、業界内部でもまだ「温度差」や「距離感」が大きく、組織の一体化が未達であることを意味している。

 

票は数字だが、数字は人間関係の反映でもある。阿部氏の選挙は、業界が抱える“組織の地政学”を赤裸々に映し出したと言えるだろう。

 

今回の得票データを眺めると、ホール数が多ければ得票も多い、という単純な図式は通用しないことが分かる。むしろ、ホールオーナーの「本気度」や「連携力」があって初めて、票はまとまる

 

業界がひとつの目的に向かって政治力を発揮するには、「数」ではなく「動き」の質が問われる時代に入ったということだ。次なる挑戦のためには、票の裏側にある温度差と本音を、しっかりと拾い上げていく必要がある。