「まだ5年先」ではなく「もう5年を切った」。こう受け止めているのが、今のパチンコ業界である。
ある県遊協のトップは、先日開催された総会の場で次のように語った。
「3月21日に閣議決定されたギャンブル等依存症対策推進基本計画の改定により、オンラインカジノの規制が強化されました。大阪IRのカジノ開業が現実味を帯びる中で、ギャンブル依存症対策への注目は再び高まり、パチンコ業界も比較対象として厳しい視線を浴びることになるでしょう。カジノができる大阪だけの問題ではなく、全国の業界全体で依存症対策に取り組まなければなりません。その一環として、リカバリーサポート・ネットワークが提供しているeラーニングを活用し、従業員教育の強化をお願いしたい」
この発言が象徴するのは、業界全体の危機意識の高まりである。仮にカジノに顧客を奪われるとすれば、実害を受けるのは大阪周辺のホールかもしれない。しかし、依存症問題に関する批判の矛先は、エリアに関係なくパチンコ業界全体に向けられる。ゆえに全国レベルでの対応が不可欠だという認識が広がっている。
一方で、夢洲の開発に対して新たな商機を見出そうとする動きも出てきた。大阪市は万博の閉幕後、会場跡地を開発事業者に売却する方針を打ち出しており、今年度後半には事業者の募集が始まる予定だ。
あるホール企業の関係者は意欲的にこう語る。
「カジノとパチンコは別物。等価交換営業はあえて行わず、差別化のために低価交換営業に徹します。カジノで負けたお客さんを、気軽に遊べる場所として迎え入れる。さらに、インバウンドを取り込むには、IRに近接するロケーションが有利。夢洲を“ギャンブラーズ・アイランド”として盛り上げたい」
その構想が現実味を帯びるならば、単なる1店舗ではなく、夢洲に「パチンコのテーマパーク」を作り上げるという発想も浮上する。アミューズメント性を高めた複合施設としての“パチンコ村”を形成すれば、全国からの集客も視野に入るだろう。
ギャンブル依存症対策と事業展開の両立。大阪IRの開業を契機に、パチンコ業界はこれまでにない局面に突入しようとしている。叩かれないための防御ではなく、社会との共存を意識した能動的な変革が問われている。
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