食パンといえば、通常は1斤サイズが主流だ。日常的な光景の中に突如現れた非日常。男性はその異様な大きさに驚き、思わず見入ってしまった。
たまたま歩く方向が同じだったこともあり、おばあちゃんの後をつかず離れずついていくと、彼女は近くの喫茶店に入っていった。男性も小腹が空いていたので、興味本位もあってその喫茶店に足を踏み入れる。
メニューを開き、何気なく「ピザトースト」を注文する。しばらくして運ばれてきたのは、思わず目を疑うような厚さのトースト。なんと1斤を半分に切ったぐらいの分厚くてどっしりとした一皿だった。その瞬間、謎が解けた。さっきのおばあちゃんが抱えていた4斤パンは、この店の特注品だったのだ。
価格は980円。少し高めに感じたが、そのボリュームと味に満足し、また来たいと思わせる魅力があった。
この男性、実は一線を退いたものの、かつては広告・プロモーション業界で手腕をふるっていた人物だった。喫茶店でトーストを頬張りながら、彼の中で久々に「プロモーション魂」が目を覚ます。
「人は、普段見かけないものに心を奪われる」
そう実感した彼は、この気づきをパチンコ店の集客プロモーションに応用できるとひらめく。
やがて迎える夏の甲子園。高校野球の開会式といえば、出場校のプラカードを持った女子高生が行進する光景が恒例だ。これをヒントに、こんなプロモーションを考えた。
「街中で女子高生の制服を着たスタッフが、プラカードを掲げて歩く。注目を集めるのは間違いない。ただし、プラカードには『新装開店』『〇〇店』といった文字はあえて書かない。代わりに、『店内で何かが起きる』とだけ書く」
人は曖昧な言葉に想像をかき立てられる。明確な説明を省くことで、「何が起きるんだろう?」という興味を引き出し、実際に店舗へ足を運んでもらうことが狙いだ。
さらに、来店特典として缶ジュースを総付け景品として配布する。もし大手飲料メーカーが新商品を出すタイミングと合えば、タイアップも可能だ。無料サンプルとして提供してもらえば、コストを抑えつつプロモーション効果を高められる。
「まずは足を運んでもらうこと。そこで体験してもらえれば、きっとリピートにつながる。あの喫茶店のようにね」
さて、このアイデア──採用してみますか?
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