顧客に提供する商品もセブン機、ハネモノ、権利モノ、一発機、普通機と多彩で自分好みのタイプを選べる自由度もあった。
ホールのオペレーションは40玉交換で、1回交換~ラッキーナンバー制だった。これも100%以上の出玉を放出してもホールが赤字になることもなく、それでいて顧客を遊ばせることのできるオペレーションだった。
ホールが提供する商品と顧客のニーズが合致していたので、ホールの収益力も向上した。
自由化の波で組合の自主規制が次々に撤廃されてきた結果、ホールはさらなる収益を求めて、ギャンブル志向の客だけをターゲットにし始めた。それにより、利益の上がらない普通機やハネモノがどんどんホールから消え、本来の娯楽でパチンコを楽しんでいた客を業界自らが切り捨てて行った。
顧客やホールのニーズに合わせてメーカーが開発に鎬を削ったのは、射幸性の高い等価交換仕様の機械だった。そんな機械では業界人ですら4パチは怖くて打てない状況で、それを顧客に打たせること自体が間違っている、というもの。
高射幸性遊技機で営業を長らく続けるとホールも感覚が麻痺してくるのか、新台は新台効果がある内に“抜く”ための道具になり、今、ホールが客に提供しているのは怒りの感情と不快な思いだ。遊技人口を減少させて当然の結末である。
遊技機規則の改正に伴い、ホールは好むと好まざるに関わらず、低射幸性遊技機による営業を強いられることになったが、射幸性を落としただけの現行のセブン機で、業界を離れて行ったユーザーが戻ってくるか、といえば未知数であるが、今の遊技機の延長線上にニーズがあるとは思えない。
パチンコ市場もこの10年間で確実に変化しているわけだから、これまでのやり方を全部捨てるぐらいの覚悟で新たなコンセプトの基に、新たなニーズに合う商品を提供して、そのニーズに合うオペレーションが求められる。
では、新しいコンセプトとは何か? キーワードは「健康、長生き、若返り」だ。認知症は孤独な状態が続くと鬱になり、それが症状を引き起こす、といわれている。
ホールは今も高齢者のコミュニティー的な役割を果たしているが、それをさらに先鋭化させる。パチンコをすることが認知症対策になる、つまりパチンコをすることが健康につながる。
メーカーは高齢化社会に対応するために、健康をテーマにしたパチンコを開発することで新たなニーズを掘り起こすことができる。豊丸産業がその分野では一歩リードしていて福祉施設用にトレパチを商品化している。
パチンコをすることが健康につながれば、社会的役割を果たすこともできる。

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