パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

まだ粗利重視を続けていますか?

経営学の観点から様々業界の倒産研究を行っている学者がいる。2~3年前から着目しているのがパチンコ業界だ。

まず、調査の手がかりとして使っているのがピーワールドだ。3年前からデータベース化している。このサイトを定点観測しておけば、自ずと閉店情報を把握することができる。

例えば、5店舗経営していたホール企業が3店舗に減った時点で、本社に電話して取材依頼をかける。この方法でこれまで20人の取材に成功している。取材対象者は8人がオーナーで、残りの12人は役員や店長。

この中からあるオーナーの声を紹介したい。

「決して暴利を取っているわけではないのに、お客さんが減って来た。となると1人当たりから取る金額が上がって行く。反面出玉は悪くなる。悪循環に陥り、お客さんを増やす自信もない。このまま引き延ばすことも考えた。息子たちとも相談したが、息子たちも閉める方向だった。悩みに悩んで精神的にも参った。それで閉店することにした」

店舗を拡大することもなく、堅実経営だったので、幸い負債はない。貯えも十分あるが、閉店を決めた時は、これまでのお客さんの顔が浮かんできて、涙が出た。

ここからは、30年以上ホール経営をやってきて今にして思う反省点だ。

「随分、無駄なところにおカネをかけていた。無駄な設備もあった。利益が上がっている時は、それが見えなかった」

設計の先生にすべてお任せでいいなりにおカネをかけた。

今にして思えばファサードには巨大な1枚ガラスを使用していた。途中、桟を付ければ半分の大きさのガラスでコストも抑えられる。巨大な1枚ガラスにする必要はどこにもなかった。必要もないところに鏡を張りまくっていた。

ホールの顔ともなる入り口の照明にもシャンデリアを使った。2階建てでエスカレーターは上下ともにつけた。

.裏手には機械などを運ぶ業務用のエレベーターを設けたが、待っている時間がもったいないので、ほとんど使うことはなかった。機械搬入はもっぱらエスカレーターを使った。

業界が右肩上がりの時のホールの作り方そのものだ。

「営業成績が24カ月下回っていたら、黄色と赤の中間のオレンジ信号です。今やっていることがダメであることに気づかなければなりません。パチンコホールは売り上げが大きすぎて、まだ、大丈夫という感覚になりがちですが、一般の小売業では売り上げ以外に来店客数、客単価をチェックしながら分析しています。ホールの場合、粗利さえ確保したらいい、という考え方が危険です」(経営学研究者)

小売業は売り上げが下がれば、粗利も下がるのに、パチンコホールは、売り上げが下がっても粗利を確保できる。稼働が下がっても釘を閉めれば、粗利の帳尻合わせができてしまう。仮に売り上げが2~3割ダウンしようとも、粗利はダウン前と同等を確保できてしまう。

粗利重視にしているということは、それはお客さんの懐を痛めつけていることでもあり、客離れは起こるべくして起こっている。

その反省から粗利重視から稼働重視に方針を変えたホールがある。会社が現場に出した指示は必要最低限のランニングコストの金額だけで、粗利の指示は出さなかった。現場は必要以上に抜く必要がなくなった。

釘を開けた。還元しているのに、口コミで伝わることもなく、客数はなかなか増えなかった。それでも、釘を開けているので稼働は1.5倍に上がっていった。そういう地道な努力を続けて2年8カ月目にして、急に客数も増えるようになった。

一度失った信頼というものは取り戻すのに時間がかかるが、今の時代に戻ってきてくれるということがありがたい。


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稼働貢献、収益の柱になる現行ミドル機を探る

来年2月1日以降も旧基準機を使うための、全国の遊商組合には認定申請が殺到している。遂に、とある組合から悲鳴が上がった。10月半ばになると1日の書類申請が850件を超えていたが、23日には遂に1800件を超えてしまった。800件台でも事務員が日付が変わる時間帯まで作業しても追いつかない状態で、打刻書類の発給が5営業日では困難になってきた。これ以上増えると事務員を増強しても1日の受付を制限しない限り5営業日での書類発給が難しい状態に陥っている。

遊技機規則の改正に伴い、パチンコは大当り1回で獲得できる最大出玉数が旧基準機では2400個(9600円相当)だったものが、新基準機では1500個(6000円相当)へ抑制される。これに伴い大当りラウンド数も最大16ラウンドから最大10ラウンドに引き下げられる。新基準機の出玉性能では客離れが予想されることから、どうしても旧基準機で3年間は営業したいと考えるのが当然だ。

ただ、いくら旧基準機だからと言って何でもかんでも認定申請するのも考えものだ。すでに稼働がつかずに終わっている機種が、新基準機時代に再浮上するかといえば答えは否だ。

組合の事務作業を軽減することに加え、各メーカーが旧基準機の最後の年末商戦として捉えて、リリースしてくる新機種を吟味した方が、集客には貢献できるというもの。

2017年は脱MAX機元年としてスタートしたが、MAX機ユーザーの受け皿となったのは、いうまでもなくミドルタイプだ。営業の柱はそのままミドルにスライドした。

規則改正で収益力が低下するのは必至だが、収益源の柱としてパチンコミドルの重要性が高まっている。

アウト稼働は、ここ数年は前年割れの状態が続いているが、2017年度で見ると、「北斗の拳7」、「必殺仕事人V」などが導入された月は、前年の水準に回復している。年末年始商戦後の落ち込みを回復するには、やはり目玉機種の投入が必要になってくる。ちなみに、今年の盆商戦後の9月には目ぼしい新機種がなかったため、ホールコンデータでは過去最低のアウトを記録してしまった。

あるコンサルのレポートによると、パチンコユーザーの店選びの基準は①家からの距離、②新台導入、③設置総台数、④空気環境、⑤清潔感の順になっている。距離と設置台数は変えようがないが、新台導入は営業上取り組める最大施策ともいえる。ただ、新台と言えども小台数では稼働に貢献しない。主軸機種ともなれば最低でも10台前後の導入で期待度の段階が一つ上がる。

パチンコと同等に規制がさらに厳しくなるパチスロだが、規則改正に向けパチスロファンはパチンコへシフトするというアンケート結果もある。今後はパチスロファンの受け皿となるパチンコの新台が必要となる。

12月以降に納入されるミドルで注目されているのが、三洋の「大海物語4」、ニューギンの「真・花の慶次2」、SANKYOの「機動戦士Zガンダム」などが挙げられる。

収益力低下必至のパチスロ6号機時代に備え、今後の島構成を見直していく必要があるだろう。



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斜陽産業だった競馬が6年連続でV字回復したことから学ぶこと

「東京の空は広い。」

山手線でJRAの車内釣り広告を見た人が、この広告に大変違和感を覚えた。子供連れの若い夫婦がまるでピクニックへ出かけるような雰囲気の構図で、「あそぼう!東京競馬」のコピーがあしらわれている。



JRAの意図は家族連れでも競馬場は楽しめる、ということをアピールしているわけだが、「ここでわざわざ子供の写真を使う必要があるのか。子供のころから競馬場に馴染ませて競馬予備軍を作る。公営なら何をやっても許されるのか!」と小さな怒りが湧いてきた。

ギャンブルである競馬場に子供が入れて、遊技であるホールに子供が入れない。

パチンコ業界は広告宣伝規制によってがんじがらめで何もできない状態が続いている。カジノ解禁に向け競馬もギャンブル依存対策を政府から指導されている。

で、依存症対策の中身は、インターネット投票サイトでのアクセス制限や購入限度額を設定できるシステムの導入や、依存症の相談や治療ができる体制の拡充だ。今年度中をめどに場内や場外券売場のATMのキャッシング機能を廃止したり、ATM自体を撤去したりする。

ギャンブルで100億円も負けた大王製紙の元会長がいるように、ギャンブルの負けは際限がないのに、パチンコが3分の2に出玉規制されたのとは対照的な寛容さを感じる。要は胴元が自治体ならOKということだ。

ちなみに、2017年のJRAプロモーションCMは「HOT HOLIDAYS!」をテーマに、俳優の松坂桃李、柳楽優弥、高畑充希、土屋太鳳が出演。「友情、愛情、ケイバ場!」を合言葉に、仲間たちが初めて訪れた競馬場で体験する感動・興奮にフォーカスを当てながら、競馬が、休日の最大級のレジャーであることを表現している。明らかに若年の初心者をターゲットにしていることが伺える。

JRAの集客戦略は①若年層の取り込み、②女性ファンの獲得、③休眠層への呼びかけの3段構えだ。CMだけでなく、若年層の取り込みには、「SMART! JRA」で、2012年はAKB48や映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」とコラボキャンペーンを展開している。さらに2013年には、人気漫画「進撃の巨人」と協力し、「進撃のジャパンカップ」「進撃の有馬記念」と各レースに合わせたプロモーションを行った。

女性ファンの獲得を目指す取り組みとして、2012年に若手女性職員によるUMAJO(ウマジョ)プロジェクトを発足。UMAJOを「従来の競馬にとどまらず、女性ならではの感覚を活かし、自由に競馬を楽しむ女性」と定義。各競馬場にドリンクやスイーツが楽しめる女性専用スペース「UMAJO SPOT」を設けたり、馬券の買い方などわからないことを気軽に聞ける「UMAJOコンシェルジュ」を常駐させたり、UMAJO向けのオリジナルグッズを開発したりと、新しい競馬の楽しみ方や、個人に合った競馬の楽しみ方を提案している。

こうした取り組みの他、ネット投票の普及によって斜陽産業と言われた競馬が2010年を底に6年連続で売り上げが前年を上回る回復ぶりをみせている。しかも、中央だけではなく地方競馬も復調しているのだから、競馬人気が復活してきたともいえる。

中でも、高知競馬は売上げ不振による累積赤字で、廃止寸前に追い込まれていた。その後様々な経営再建によって業績は大幅に改善。2008年には40億円足らずだった売上が、2016年は250億円以上、と大幅にアップしている。

高知競馬といえば100連敗の“金字塔”を打ち立てたハルウララが負け馬として有名になった。ハルウララフィーバーのおかげで、赤字だった高知競馬が2004年度に2500万円の黒字を記録したものの、その勢いは長くは続かず、2005年にハルウララが引退した事で、高知競馬は再び経営難に追い込まれた。

では、なぜ、高知競馬がV字回復したかというと、2009年に地方競馬初のナイター競馬導入と2012年JRAと提携したネット販売の導入が原動力となっている。

他の競馬場では最終レースが4時に終わるのに対して、高知は最終レースが9時。この日の負けを取り戻そうとする全国のギャンブラーが一発逆転を夢にて、高知のネット投票に殺到するようになった。最終レースは弱い馬ばかりを集めて予想が難解で、オッズが高配当になるようにしたのも人気の秘訣だ。

競馬の取り組みの中でパチンコ復活となるヒントとなるものはある。若年層や女性客の取り組みは参考になるものもあるが、ここは個々の企業努力というよりも、業界が総力を挙げることが必要になる。



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規則改正後の業界新時代を生き残るためのヒントが盛りだくさん

パチンコ業界は、既に来年の話で持ちきりである。期待は薄く半ば諦めモードの気配すら感じる。
しかし、指をくえて嘆いてばかりしても、ましてや誰かのせいにして犯人探ししてても、何も変わらないのも現実である。

「お客さんが来ない」と嘆いているホールは多いが、「来て頂くためにどうしよう?」と考えているホールも厳然としてある。

そんな中、来る11月22日、東京・中野サンプラザで「過去と決別~新未来へ」(主催:一般社団法人日本アミューズメントパチンコ産業ネットワーク/通称:JAPaN)と題する集合セミナーが開催される。

全23講義。1時限目と2時限目は各8セミナー、3時限目は7セミナーが同時に進行される。受講申し込み定員は777人。参加費は無料となっている。

この様な形態を採用しているのは、ホールオーナーから、ホール現場スタッフに至るまで、「各人にとって聴きたい事が異なる」ことが多いので、聴いてみたい講師・内容を選択できるようになっている。

JAPaN側の収益は「全く無い」との事だが、約30名の講師陣もノーギャラ、全員が無償での協力となっている。本気で、「パチンコ業界をなんとかしたいから」「ホールが元気になってもらいたいから」「もっとお客様が来て欲しいから」との思いで集まった講師陣のようだ。

さて、今回のセミナーのテーマは「過去との決別~新未来へ」。

代表理事の高橋正人氏はセミナー開催についてこう話す。

「パチンコ業界は、来年2月からの規則改正施行を控えており、遊技機の低射幸性化により、現在の営業スキームを変わっていくことになります。また、依存問題等々の業界宿題も多く、その軽減化に向けて様々な業界対応も必要となります」とした上でさらににこう続ける。

「もう、過去の営業手法も価値観も切り替えなければ、新未来のパチンコ店として生き残れない時代が、すぐそこまで来ています。それらの新しいスキームの運用のためには、まずは事実関係を正確に捉えた上で、次の運用・対応に望む他なりません」

来年も再来年も、パチンコ店の店舗数は減少し続けるだろうが、逆に生き残って行く法人は拡張路線もチャンスでもある。パチンコ店に行くお客さんにとって、行く価値のあるホールは生き残り、行く価値の無いホールは淘汰されていく。

そんな時代が、リアルにやってくる。

セミナーの詳細と受講申し込みはこちらから



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基幹店が4年で撤退するワケ

完全閉店する店舗が、閉店の3週間ほど前に一挙50台あまりの新台入れ替えを敢行しているが、これには社内の人間が一番驚いたことかもしれない。

グランドオープンしたのは4年前。巨大ターミナル駅前の一等地で規模は1000台オーバーの大型店である。基幹店がわずか4年で撤退を余儀なくされた現実は、パチンコ不況の象徴的な出来事ともいえる。普通の店舗が閉店するのとは意味合いが大きく違う。

「年末年始の新台入れ替え計画までありました。いかに急転直下だったかということが分かります。閉店の話が下に降りてきたのはごく最近です。採算性を重視した結果だと思います」(周辺関係者)

これは4円の稼働がホール経営を支えられなくなった現実を示すものでもある。1000台クラスの大型店を1円だけで運営できるか、といえば否である。現場からは600~700台が適正台数という声も聞こえてくる。

一から土地・建物まですべて手当てして大型店を出店するビジネスモデルにも陰りが出ている。現に最近グランドオープンした新規店舗は、計画通りの稼働を上げられるケースの方が少ない。

ところで、今回の撤退には強力な競合店の存在があった。隣り合わせでし烈な戦いを繰り広げてきた。

業界ウォッチャーは今回の撤退を営業視点でこう見る。

「やはりライバルの方が圧倒的な一番店でブランド力があった。複合施設というのも強味だった。さらに、ライバルには揺るぎない主軸があった。グランドオープン時には日本最長の『牙狼ストリート』があり、現在は北斗無双で130台です。主軸を競合の倍以上抱え、競合がつけられない状況を作り続けた。この兵法を続ける限り、二番店にしかならない。二番店では賄えない家賃になり撤退を決めたものと思われます」

IT media ビジネスにダイエーはなぜ衰退したのか、という記事が掲載されている。

以下、要点を抜粋した。

スーパーのダイエーが「流通革命」や「価格破壊」といった言葉に代表されるように、日本の小売業界、流通業界に与えた影響は大きい。

ダイエーは、中内氏の経営理念「価格は消費者が決める」「売り上げが全てを癒す」によって、それまで定価販売が当たり前だった小売業のあり方に革命的な変化をもたらして消費者の心を掴んだ。また、GMS(食品・衣料品・家具・家電と一店で何でも買うことが出来る業態)という業態や、SC(ショッピングセンター)という業態の日本での定着化を実現したのもダイエーである。

1980年には小売業で初めて年間売上高1兆円を突破し、80年代後半にはプロ野球球団「南海ホークス」の買収や流通科学大学設立など、事業の多角化を推し進めた。

豊かさを得た消費者の嗜好(しこう)が、「安さ」一辺倒から「品質+安さ」重視に転換していることについていけず、また、家電やアパレルの専門店など競合の成長に対しても有効な策が打ち出せずにいた。その結果、ずるずると業績悪化を続けていき、最終的に、2004年の産業再生機構による支援を経てグループ解体に向かっていった。

成長していたころのダイエーは時代の旗手であり、中内氏が繰り出す施策はどれも当時の小売業界ではとがった存在だった。しかし、中内氏が事業の目標とした国民の豊かさが実現した後、次の目標を見つけられず、その後の経営体制も過去の遺産を食いつぶすだけで、新しいコンセプトを打ち出せなかった。

結局、中内氏のカリスマによって事業拡大したダイエーは、そのカリスマ体制から脱却できないことで衰退の路を早めた。

以上引用終わり。

高射幸性の時代は終わった。今後は低射幸性の遊技機で、依存症対策をしながらの営業を強いられている。それなら、そっちの方向にいち早く舵を切るしかない。

1円で経営が成り立つためには、メーカーもいつまでも高価な機械を販売している場合ではない。




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