国会が召集されるたびに降ってわくカジノ法案だが、その内幕を自民党関係者が明かしてくれた。
「毎日新聞の記事は完全にアドバルーンですよ。カジノ推進派は頑張っているところを示すためです。誰に示すかといえば、カジノをやりたがっている日本の企業ですよ」
そもそも、カジノ法案がIR法案と名称を変えたのは、統合型リゾートで外国人観光客を集客するための施設で、カジノはその中の一部であることで世論の風当たりを薄める狙いもあった。しかし、自民党と連立を組む公明党がギャンブル依存症などを理由に頑なまでに反対に回っているために、成立を阻んでいるともいえる。
公明党は自民党にモノがいえる政党をアピールするためにも、この姿勢は崩さない。
「自民党の中にはまだ東京オリンピックに間に合うと考えている議員もいます。その場合はIR法案ではなく、カジノ法案一本です。それなら、既存の施設を使ってもできる。IRに拘るから何年も先送りになる、と」
カジノ法案単独での推進派の考え方はこうだ。
「日本でリゾート地なんて北海道か沖縄ぐらいしかない。しかし、北海道、沖縄出身の大物政治家はいない。そんなところに作っても失敗するだけ。カジノ法案をIR法案にしたこと自体が第一の失敗。リゾートは離して考えなければならない。これでまた2~3年は遅れる」といら立ちを隠せない。
推進派の中にもカジノ法案だけでも通したいという強硬派がいるが、カジノに絞ればますます公明党の協力は得られない。安倍政権下で単独政権を取らないと無理な話だ。
公明党はIRを作らなくても年々外国人観光客は増えている、という反対理由がある。ところが、アベノミクスの景気浮揚も実感できない中、今後、円高が進めば、外国人観光客が減少することも予想される。その時の目玉としてIRが必要になってくる、と推進派は反論する。
カジノの税収で成り立っているマカオ政府は、カジノ運営会社に40%の賭博税を掛けている。儲かり過ぎた2013年は永住権を持っている市民には日本円で約11万円を還付したこともあった。
マカオを例にカジノを作れば税収が上がることをアピールしたい推進派は宣伝材料に使おうとしたが、ギャンブル収入は所詮あぶく銭だった。
習近平政権になって腐敗運動を強化したことから、共産党幹部の裏金がマカオのカジノへ流れなくなった。その影響はすぐに出た。2015年は財政黒字が6割も減少した。マカオの歳入の8割をカジノが占めているため財政基盤は決して強固とはいえない。
カジノの税収をあてにするなら、先にパチンコから新たな税を取れ、という世論もある。右に転んで左に転んでもとばっちりを食うのはパチンコ業界だ。
「以前は換金税でしたが、自民党内ではパチンコ税の考えは消えていませんよ。税は公平でなくてはなりません。遊技料金に掛ければ二重課税にもなる。店に掛けるなら設置税か、新台導入時に掛ける新台税とか色々研究はしていますが、結論は出ていません」(自民関係者)

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