M&A専門会社とは会社を売却したいという依頼を受けて、買い手を探してくるのが仕事だ。
比較的多いのが、後継者がいないので第三者に会社を売却したい、というケース。特殊な技術を持っている会社であれば、すぐに買い手は見つかるが、OA機器販社のように特殊な能力のない会社は買い手が付かない。
M&A専門会社がホールの売却案件を17~18件扱ったことがある。パチンコ業界はあまり得意としている会社ではないのだが、売却が成立したのはわずか1件だった、という。
「ホールは同業者を辿っても売れない。同業者は将来的なことを考えると尻込みする。加えて、売却する方が売却金額をまず下げることがないから成立しない」
かつては2000~3000万円もした温泉付きのリゾートマンションが、100万円でも売れないケースがある、という。温泉は月々の管理費が結構高いらしい。しょっちゅう利用するわけでもないのに、月々の管理費が嵩むと手を出す人はいない。
それと同じ状況が築20年以上のパチンコホール。耐震性の工事も必要になってくることを考えると3億円の物件が1.5億円でも買い手はつかない。
「色々な業種のM&Aをやってきたが、パチンコホールほど難しいものはない。時代が悪い。パチンコユーザーがたくさんいる時代なら、すぐに売れたかも知れない。その前に、パチンコユーザーがいる時代なら売却することもない」
そういう状況でも1件だけ成立したケースがある、ということだが買ったのは同業者ではなかった。
小売業を多角経営する会社で、一度パチンコ経営にもトライしてみたかった会社だった。
物件は交通量が多い県道沿いで、広大な駐車場を有する郊外店舗だった。もし、パチンコがダメなら小売業へ業態転換するために買った。
最初はパチンコホールをやってみたが、すぐに止めて小売業とコンビニをホールの跡地で行っている。
都会の市街地でまとまった敷地があったホールなら、マンション用地として売れたが、そんな案件も今は少なくなっている。
地方の郊外店はマンションどころか小売業用地にもならず、人口減と共に廃墟になる運命を辿ることになる。
ホール軒数が減るということは、メーカーの淘汰にも直結するようになった。これ以上メーカーが倒産しないためにも、メーカーを筆頭に業界が利他の心を持つことだ。
自分さえ生き残ればいい、という考えが蔓延しているが、他人が利益を得られるように振る舞うことで、これ以上パチンコ人口が減ることを抑えることができる。

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