ある日、父親を訪ねて、後輩の現役記者がAさん宅にやってきた。
後輩記者は昨年末に新聞やテレビでも報道された「検定と性能が異なる可能性のある遊技機」問題で、業界のゴタゴタがどういう過程を経て、こうなったのかを取材した一人だった。
「釘問題は一般市民は興味もないで動くつもりはなかった」というが一般市民だけでなく、この記者もパチンコのことは最初は関心が薄かったようにAさんは感じた。
取材の過程で当然、メーカーにも取材を掛けていた。Aさんは話の内容からパチンコもスロットも手掛けている大手だという感触を得た。
「今まで検定通りに出した機種は一機種もない、といっていましたね。ホールが釘を曲げるのは当たり前のことだからです。従って釘の問題で警察に取り締まられるのはホールだと思っていた節がありました。ホールはメーカーに騙された、といっていますが、検定通りの釘ではないことはホールも知っていたはず、ともいっていましたね」(現役記者)
この問題はメーカーとホールの間では水掛け論になってしまう。検定機と違うにしても、結局はホールは釘を触っている…ベース30の機械を納品したら、ホールの方が営業で使えない…
そんな長年の慣習が表に出てしまって大騒動となったわけだが、本来なら検定機と異なるのであれば、検定取り消しとなって、パチンコ全メーカーが新台を作れなくなるはずだ。警察庁が本気になればメーカーは倒産する、と震え上がった。
逆に大鉈を揮って、パチンコ業界を壊滅状態に追い込いこんだとすれば、「警察は何十年間も見過ごして来て何をしていたんだ」と責任問題の火の粉が飛んでくる。
「業界と警察が癒着していると見られたとしても、一般市民が騒がなかったからラッキーですよ。この時に駐車場で子供が熱中症で死亡したりしていたら、もっと釘問題は厳しくなっていたかも知れません。幸い、そういう事故が発生していなかった。業界は運が良かった、としかいいようがないですね」(同)
前東京都知事の舛添下しは、週刊文春が火を点け、一般市民の高い関心から大きなうねりとなって、メディアが連日のように報道した結果が辞任に追い込んだ。
警察庁へも取材を掛けたが「ノーコメント」。何しろ、3店方式を「知らぬ存ぜぬ」と答える組織だ。
そこで警視庁の生安に取材を掛けると「皆責任を取りたくない。取り締まるのも面倒くさい。今のままでいい」と非公式の本音が聞こえてきた。

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