政局は刻一刻と変化して行くものだが、カジノ誘致の旗振り役だった元大阪市長の橋下徹も政治の道から退き、すっかりトーンダウンした印象はある。
今後、円高が進むようでは観光客は、カジノにおカネを落としてくれないことも予想されている。
「アメリカのカジノ運営会社は日本は有望な市場と捉えていることに間違いはなく、諦めてはいないが様子見の立場です。それよりも、日本でカジノができても警察庁では管理できないことが今回露わになりました。それも問題ですね」
カジノ法案は成立していないが、水面下ではどこの省庁がカジノの監督官庁=カジノ利権にありつけるか、綱引きしている。経産省や財務省などに比べると、天下り先が少ない警察庁としては、絶対に奪いたい利権である。
公認賭博とはいえ、大金が動く場所は犯罪の温床とのなり兼ねない。カジノを管理監督するのは、警察庁の出番でもある。
週刊誌ライターが問題視するのは、肝心の警察庁の管理監督能力だった。
「違法機といいながら『検定と性能が異なる可能性のある遊技機』を12月中に撤去することになっていますが、この呼び方をしたことで誰も責任を負わなくてもいいことになった。違法機なら出荷したメーカーに責任を負わすことになる。非常にグレーな終わり方になりました。カジノではこんなグレーな落としどころは考えられない。海外のカジノ運営会社からすると、とても警察には任せられない、ということになります」
警察庁が違法機であると認定するなら、本来検定取り消しにして、当該機種を市場から即時撤去するスジだ。ところが、警察庁が直接不正機にメスを入れることなく、“違法機の可能性のある機種”を日工組側に調査させて、発表させる形にしてしまった。業界にすれば大甘な裁定で助かったことにはなった。
70万台以上が回収・撤去となるがMAX機に力を入れていなかったホールは、「通常の入れ替え費用程度」と大きな出費を求められるわけでもない。
今から7年ほど前に、週刊ポストがパチンコメーカーと警察の癒着の総本山として社会安全研究財団に斬り込んだことがある。
この記事から読めるのはスロットは、5号機になって射幸性が徹底的に抑えられたのに、パチンコは一切お咎めがないのは、日工組メーカーが作ったこの社会安全研究財団の存在であることを匂わせた。
前身は87年に設立された日工組調査研究財団で、これが90年に財団法人社会安全研究財団に名称を変更の後、現在は公益財団法人日工組社会安全研究財団として活動している。
理事長、理事は日工組メーカーの社長が名を連ねているが、専務理事は警察官僚OBのポストとなっている。
今こそ、溝口敦氏の出番でもある。

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