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釘師に直撃

釘師を生業としている人は、関西ではまだ存在している。

そのうちの一人Aさんは釘師歴32年、年齢は50代。高校を卒業して販社に入社すると、営業ではなく開店釘を叩く仕事が待っていた。当時は手取足取り教えてくれる時代ではなく、先輩の仕事を見て覚える時代だった。

釘師の技量を測る資格も基準は今でもないが、当時は指示された割数に合せる、という大雑把なものだった。

「ホールを1軒任された時が1人前になった時だった。販社時代に本業とは別にホールから頼まれて釘をアルバイトで叩いていた」(Aさん)というように販社時代は、販社の給料の他、アルバイトで叩いたギャラが入ってきたので、おカネには困らなかった。販社が儲かっている時のボーナス時の給料は、他業界で働いている同級生の年収分の収入があった。

販社へ10数年勤めた後、フリーの釘師に。今は4軒のホールの釘を叩いている。

「全盛期に比べるとギャラは半減といったところですが、食べて行くには十分です」

釘師の仕事はホールが閉店するころから、開店するまでの深夜7時間余りが勝負。この間に4軒を回る。

「釘師仲間の子供が小学校の頃、作文でお父さんの仕事はドロボーです、と書いていたのには驚いた人もいました。夜中出て行って、朝帰ってくるわけですからね」

釘師の仕事は犠牲の上に成り立っている。

休みは取れない、家族と泊りがけの旅行にも行けない。

釘師の仕事道具は、ハンマーと玉ゲージ、板ゲージ、角度ゲージ。これを駆使しながらホールから指示されたスタートを合わせて行く。

「私より上の世代の釘師さんは、自分の息子を釘師にした人もいましたが、釘調整が違法といわれるようになった今はそういう時代でもありません。ホールで釘調整をしている人たちのためにも釘調整が違法扱いされないようにしなければいけません」とキッパリ。

そのためにも、風営法には釘は概ね垂直と明記されているが、概ねという曖昧な表現ではなく、何度以内、と角度を明記してもらい、その範囲内はOKというお墨付きをもらいたいものだ。

そもそも釘調整とはコンマ何ミリの世界で、髪の毛1本分の微調整ともいわれる職人技の世界なのだが…。

「等価仕様に合わせて甘すぎるゲージがなくなった。等価交換は最初の顔を作るのには苦労するが、25個交換ならスタートは5.0~5.5回の範囲、30個なら5.5~6.5回。なので等価は釘幅の調整範囲が狭い分、楽なんです」

釘師が引退するのは体力よりも視力だという。


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