思い起こせばカジノ議論が始まったのは1999年のことだった。足かけ15年もかかった理由は、2年に1回の割で首相が交代する不安定な政権下では、プライオリティーの低いカジノ法案は議論されることもなかった。
今回ばかりは違う。
6月18日、会期末に趣旨説明で継続審議へと持ち込み、6月24日には、シンガポールのIRを現地視察した安倍首相自らが、成長戦略の起爆剤としてIRを明確に位置付けたことが、アドバルーンで終わったこれまでとは大きな違いだ。
さらに、7月18日には菅官房長官の下に、国交省、財務省、警察庁から20名の審議官が選出され、検討組織を作った。法案審議が行われる前に、審議官が組織されることは異例で、外堀から埋められて行っているのが分かる。秋の臨時国会で確実にIRの推進法案が可決されることはほぼ間違いない状況になっている。
推進法可決後は、1年以内の2015年までに実施法を策定。2016年の国会で実施法を可決させ、2017年には区域と事業者が決定しなければ、2020年の東京オリンピックまでには間に合わない。
といっても、東京オリンピックは大義名分であって、間に合わせる意味はあまりない。
いよいよ、カジノが解禁になった場合、カジノをどの省庁が管轄することになるのかが、問題になって来る。
かつて、公営ギャンブルが法案化される場合、国会議員と省庁の間で天下り利権を合意形成させてきた歴史がある。
その結果、競馬は農林水産省、競艇は国土交通省、競輪とオートレースは経済産業省、サッカーくじは文部科学省、宝くじは総務省、ときれいに色分けされてきた。
民主党政権下で行われた事業仕分けで、国民の目も厳しくなってきているので、今回はその手法が通用しない。
「カジノは胴元が負けることだってある。絶えず、胴元とお客さんの間でおカネが行き来しているので、帳簿に記載しにくい。そこに犯罪者が入り込んでくる隙があるので、それを防御しなければならない。従来の都道府県警察ではそれはできない。天下り利権は欧米では絶対に認められない。健全性を訴えるためにも、官僚の利権が入り込む隙はない。選任、専従の別の公安部隊を組織することになる。カジノだけをコントロールするカジノ警察が必要になってくる」とはカジノの第一人者でもある大商大の美原融教授。
確かに都道府県警察では、暴力団を壊滅すると捜査四課が不要になるからなのかもしれないが、取り締まりには甘さがある。
カジノ警察とは初めて耳にする言葉だが、やはり警察庁が濃厚ということか?

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