そういう状況で50を過ぎれば、転職は非常に厳しい年齢だ。それがたとえ店長職であろうとも…。
55歳になるAさんは、幸運にも店長待遇で転職することができた。部長が紹介で引っ張ってきた。前職での実績を見ての判断だった。
店長といえば、当然釘も叩けなければいけない。Aさんは、もちろん釘の技量を持っているが、この会社ではさほど釘を重要視していない。
基本釘ができれば、日々の営業はスタートの開け閉めだけだからだ。
このホール企業では店長になるには試験に合格しなければならない。試験項目の中には当然、計数管理が含まれている。
例えば、あるスタート回数で、TYがこれぐらいなら、1日の利益はどれぐらい上がるか、というような問題なのだが、Aさんはこの計数管理試験に何度かチャレンジしているのだが、試験には落ち続けている。
計数管理の筆記試験に合格しないから、店長待遇で扱われているのだが、Aさんがやってきて、店の稼働は徐々に上がり続けている、という。
筆記試験には合格していないが、確実に稼働を上げるという店長の役目はきっちり果たしている。
筆記試験は満点でも現実問題として、稼働を上げられない店長はいくらでもいる。
会社としての優先順位は、店長試験に合格することではなく、店の稼働を上げることだ。
理想は店長試験も合格して、稼働も上げられる店長を育てることだ。
Aさんには、お客さんを惹きつける何かが備わっている。
部長はAさんのその何かを見て「盗め」と店長たちに檄を飛ばしているが、目に見えるものではないので、店長たちはただただ戸惑うばかりだ。
パチンコホールは、店長産業産業ともいわれるように、店長が変わると業績も大きく変わることが往々にしてある。
ボーダー理論やカチカチ君を使って打つユーザーもいるが、今のパチンコを支えるシルバー層は細かい計数管理しながら打ったりはしない。
「自分がお客さんの立場に立って物事を考えることです。それを一つずつ実行していけば、自ずと稼働は上がるものです」とAさんは多くを語らない。
計数管理も大事だが、お客の立場を忘れてしまった店長が多すぎる。今の状態で店長が自分の店で打ちたくなるかどうかを考えれば、自ずと答えは出てくる。

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