そのホールは9時開店、23時閉店の営業時間だった。朝一と夜の稼働が伸びなくなってもう何年も経つ。
「人件費削減のために、10時開店で22時閉店にする。特に、22時以降は時給が25%上がる。お客さんもいないのに営業時間を長くしても無駄になった」(ホールオーナ)
お客さんもいないのに、営業時間を延ばしたところで、人件費と電気代がかかるだけだ。そこまで状況は切迫している。特に、元々、都会に比べて遊技人口が少ない地方は重症で、これまで色々な方法を試みたが、万策尽きて集客方法も手詰まり状態だ。業界人では思いつかない集客方法をノドから手が出るほど欲しがっている。
集客方法が思い浮かばないのは、仕方ない。今のようにカネのかかる現状の機械を新規ユーザーに打たせることに自体に問題がある。
それは新規ユーザーだけではない。根っからのパチンコファンだったAさんは、60歳で会社を定年退職。その後嘱託で5年働き、やっと年金が受給される年になった。
「月のパチンコ代予算は1万円。1パチをやっているが、とても1万円では足らない。予算がオーバーしたら今はへそくりを使っているが、それもやがては枯渇する。老後の楽しみはパチンコだったのに、年金だけでは暮らせない」とすっかり予定が狂ったようだ。
根っからパチンコ好きのAさんのようなお客さんをも、今のままでは逃して行くことになる。
業界はおカネのかかり過ぎる遊技から早急に脱却しなければならない。そこで、三洋はユーザーの不満の中で一番多かったスタートが回らない機械のアンチテーゼとして、まわるんパチンコの第2弾、大海3をリリースした。これで玉持ちがよくておカネを使わない機械に仕上がっていることを期待するとして、新手の機械代のコスト削減を考えているホールオーナーもいる。
「パチンコ1台の権利を人に売りたい。例えば、機械代1台分、35万円を投資してもらう。利益をホールと折半する。うちは300台の小さな店なので、機械代を削減するために、投資家を集めたい。ヒット機種はうちで買い、人気のない機械に投資してもらえればありがたい。お互いプラスになることをやりたい」
人気のある機械は自分で買い、人気のない機械は投資家を集める。人気のない機械に誰が投資するのか、といいたい。
最後に粗利目標を会社からあまりうるさく言われないホールの話で〆よう。
そのホールは等価交換でAKB2を導入した。
「甘く使えば、お客さんは喜んで粘ってくれるので、稼働は上がります。お客さんからも『よく回って楽しい』といっていただけます」(店長)
等価営業ながらスタートは甘く使い、それでいて利益は出している。
「当たる前にストレスを与えないこと。当たってから削られているのは気づくけど、まず、スタートを回せばお客さんは納得してくれます」(同)
粗利目標をうるさく言われないので、伸び伸び営業できるから、当たり前のことが当たり前にできる、ということだ。その当たり前のことができなくなったホールがあまりにも多すぎる。

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