不採算事業の打ち切りや再編は日常茶飯事だし、儲からない事業から撤退したり、赤字の店舗を閉めたりすることは当然のことと言える。
また一方、戦略的に、将来が見込める既存の赤字事業の再建に優秀な人材を投入することもあるだろうし、反対に儲かる事業に優れた人材をシフトさせ一層強化するのも営利団体としては当たり前の行為と言える。
そして、P産業でも同様のことが行われてきたと推察される。
企業経営に関して、真のリーダーが誰かと問われれば代表取締役社長であり経営者と言える。そして、ホール経営企業にとって、その下にいる現場リーダーが誰かと問われれば店長ということになる。
その店長、現場リーダーとしての資質で最優先するのは一言でいえば“営業センス”になるのかも知れない。
ところで、リーダーの資質要件として幾つかあるが、その一つに「人を見る目」ということが挙げられる。人を見る目とは「こいつはどういう風に働かせたら、最大の生産性を出せるか」をしっかりと見抜く力を持っているということだ。
そして、その眼力を生かす為に必要なリーダーの能力として「統率力」が挙げられるだろう。どんなに個々人に優れた能力があっても協調性を欠いたり、組織の方針やルールに反した行動をとられては組織全体としての力は低下することになり兼ねない。
しかし、その統率力、特に現場リーダーの統率力には悩ましい問題が潜んでいるケースもあるようだ。
遊技者であれば行きつけのホールで役職者が代わったり、店長や幹部がいつの間にか退社した話を耳にすることはある。
複数のホールを経営する企業であれば、転勤はあるし、人によっては心機一転で転職の可能性も十分にある。
しかし近年、社会問題化しているセクハラ、パラハラが原因で・・・と云う噂を耳にする機会が増したように思う。
例えば、ある新任の人事担当者からこんな悩みを聞いたことがある。
グループ内の複数の店舗を渡り歩き、業績の振るわない店舗に赴任してはその店舗の業績を上げてきた自他ともに認める敏腕店長がいる。
営業センスは抜群。申し分ない実績を出しているにもかかわらず、その店長はなかなか出世できないでいた。
そして、どうもその理由がセクハラ、パワハラに起因するらしいのだ。
赴任した先のホールで特定の女性アルバイトスタッフを頻繁に飲みに誘ったり、自分の意のままにならない男性社員に対して暴力を振るったことも何回かあったようだ。
だから、会社側もそんな問題を起こす社員ゆえに店長以上のポストへは上げられないでいた。しかし、現実として降格処分や解雇をすることもなかった。
意外な感じもするが、そこにはこんな理由があるという。営業力も然ることながら、スタッフから“怖がられるヒト”
だから・・・。
世の中を騒がせている悪ふざけの延長のバイトテロ。最近ついに、企業が倒産に追い込まれる事態が発生したという話もネット上に載っていた。
またP業界、過去と比較して草食系のスタッフが増えたとは言え、ちょっとヤンチャな気の荒いスタッフも少なくない。そんなスタッフを会社の方針に従わせる際に、その店長のように“怖がられる”要素を持っていることも必要という見解があるらしい。
加えて、少数ではあるがスタッフのこんな本音も耳に届く。
「自分は会社のために働く気はない。会社内での昇進なんて人生の成功とは余り関係ない。だから会社からいい評価を得ようとして努力するつもりも無い」
「自分は人生を捉える時、会社を定年退職した後の人生も視野に入れている。会社にいるのは、とりあえず働けばお金をくれるから・・」
産業の構造的な問題や社会の変化に伴う業界の衰退、そして今に起きたことではないが道徳観を含む価値観の変化。
こんな現実を踏まえつつ、現場リーダーとしての“こんな人物”の統率力をどう捉え、総合的な能力評価をどうすべきなのか?
ホールチェーンを展開し、肥大化した組織。そこに所属するさまざまな考え方や資質の従業員そして管理職者。
今と昔、世の中や業界事情が多少違うとはいえ、本部の新任人事担当者の悩みは尽きないようである。

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