
パチンコ業界で2000台クラスの巨艦店がデビューしたのは、1996年の「ノースランド山室店」まで遡る。“前人未到”の2000台の理由を澤田オーナーは「1000台、1500台ならすぐに抜かれる。2000台なら誰も追い越せない」と語っていた。今から18年前は常識外れの規模だったが、店舗が巨大化する流れの中で、2000台クラスのホールが福岡や埼玉でオープンする。
しかし、それはまだ1パチが主流になっていなかった時代の話である。全国的に4円パチンコの稼働が低迷する中での2100台は、別な意味でのチャレンジでもある。
同社は14年前に総台数1040台の木曽川店をオープンしたのを皮切りに、これまで1000台クラスのホールを11店舗運営している。既存店の中では岡崎インター店が1526台で最大級だったが、名古屋北店を立ち上げるにあたり、日本一の台数、という意識が芽生えるようになった。
2100台の内訳は4パチ850台、1パチ356台、20スロ778台、5スロ116台、という陣容。パチンコとスロットの比率、1パチ、5スロの比率には苦慮している。
驚くのは台数だけではない。パチンコを核に本格的な複合店舗としての機能を併せ持っていることだ。
テナントを列挙してみると、パチンコ店では全国初の出店となったコメダ珈琲を筆頭に、愛知県人のソウルフードともいえるスガキヤラーメン、コンビニはサークルK、クリーニングのホワイト急便、花屋、託児所までが一つの建物の中にある。





パチンコをしない近所の人にもテナントをどんどん利用して欲しいという願いが込められている。それをきっかけにパチンコ店の中に足を踏み入れてもらう狙いもある。
テナント名を見て分かるように、いずれも本社は愛知の企業。地域社会と共に歩む善都ならではの選択ともいえる。
ホールコンセプトは「創造」。パチンコのイメージを刷新するために美術館のように、威風堂々とした美しい建物をさらに引き立てるのが、屋外に設置されている「ウルトラ・サン・チャイルド」(全長6メートル)だ。

これは、現代美術作家の第一人者であるヤノベケンジ氏の作品で、未来の子供のための希望のシンボルとして恒久設置されている。さらにヤノベ氏とビートたけし氏とのコラボレーションが実現した「ZENT ART MUSEUM」も併設され、ビートたけし氏が原画を描いたステンドグラスなどを展示している。また、ギャラリースペースには先進気鋭の若手作家らの作品も積極的に展示していく予定だ。
店舗施設では最も力を入れたのが女性客を意識した設備。筆頭は化粧室だ。トイレというよりもパウダールームと言葉がピッタリのように広くて清潔感に溢れている。写真を見ても分かるように、床にはカーペットが敷かれ、ここがトイレとは思えない。


さらにレディースラウンジは、文字通り男子禁制の女性専用の休憩室。高級マッサージチェアが2台設置されているが、男性客の目を気にすることなく使える。


ZENTチェーンでは今や標準装備となっているワインセラーには500種類、1600本のワインが取り揃えられている。ワイン好きには掘り出し物を探すだけでも楽しいスペースである。

「アミューズメントのNEXT」への挑戦はまだ始まったばかりだ。

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