その結果、明らかになってきたことがある。
それは高齢者のドライバーが一人、二人と櫛の歯が抜けるようにいなくなっていることが、稼働低下の一因と捉えている。高齢者比率が高い店舗では、今後も減り続けることは宿命である。
それを裏付けるような事件が起こった。
今はお年寄りでもケータイは持っている時代だが、84歳になる資産家のおじいちゃんは持っていなかった。ケータイは持っていないが、軽のワンボックスカーを自分で運転して、パチンコ店へやってきていた。
家族はおじいちゃんが毎日のようにパチンコ店へ行っていることは知っていた。
ある日おじいちゃんの家族から電話がホールに入った。
おじいちゃんに「家に連絡するように」との伝言をことづかった。 ホールに公衆電話はなかった。 遊技中のおじいちゃんに、そのことを伝えると電話をかけるために店を出て行った。
玉箱を置いたまま、おじいちゃんは4時間も帰ってこなかった。心配した店長はおじいちゃんの自宅に電話を入れた。
ホールに帰ってこない理由が分かった。
おじいちゃんは追突事故を起こしていたのだ。幸い、相手にもおじいちゃんにもケガはなかった。
おじいちゃんは4パチで6箱出していた。約3万円分はあった。
会員証を持って来て貯玉するするように伝えると、家族がやってきた。
「年だから運転しないようにいっていたのに、やっぱり事故を起こしてしまいました。困ったもんです」と愚痴をこぼした。
おじいちゃんは事故を起こしたことがショックで塞ぎこんでしまい、パチンコもできる状態ではない様子らしい、ということだった。
ところが、翌日、おじいちゃんは別の車で何事もなかったかのように店にやってきた。
家族が貯玉したことも忘れている様子だった。
しばらくすると、家族から「おじいちゃんは行っていませんか?」と電話が入った。
「いらっしゃっています」
「あ~」と絶句する家族。
次の日もおじいちゃんはやってきた。
今度は家族が追っかけてきた。
「免許証も取り上げたい。また、事故でも起こしたらどうするの! パチンコもできないように出入り禁止にして下さい」と懇願された。
そのやり取りを聞いていた常連客が「じゃ、あそこの店でやればいいじゃないか」と口を挟んできた。
おじいちゃんは「ワシはここでやりたい! ここはワシの棲家だ」と頑として譲らなかった。
この言葉を聴いて店長は悲しくもあり、嬉しくなってきた。
出玉だけではなく、自店を好きになってくれていることに涙が出そうになった。それと同時にこういうお年寄りのお客さんは、いずれいなくなることに一抹の不安も覚えた。
家族から車を運転することを猛反対されたおじいちゃんは、足がなければ好きなパチンコも打てなくなる。タクシーを使えばいいものだが、おじいちゃんは自分でハンドルを握ることに固守した。
その一件で、車の運転とパチンコを猛反対されたおじいちゃんは、家で半狂乱のような状態になった。
根負けした家族から「当分打たせてやってください」と電話が入った。
来てくれることはありがたいが、やはり車の運転は事故を起こしたばかりで不安は付きまとう。
その後新たな展開があれば、続報でお伝えする。

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