人口が増えれば、パチンコ店の出店ラッシュは当然の帰結。全国大手に加え、関西大手が相次いで出店し、がっぷり四つの戦いを続けている。
この影響をまともに食っているのが隣接する市のホールだ。従来から地元の300台クラスのホールが共存共栄していたが、大型店がある地域へ客が流出する現象が続いていた。
この流れをさらに加速させるのが、もう一つの全国大手の出店だ。隣接する市のホールにすれば、止めを刺される思いだ。
このまま何もしないで手をこまねいていたのでは、倒産するのも時間の問題。危機感だけは募るのだが、どうやって流出を食い止めればいいのか、成す術もなかった。
ホールが求めるのは即効性だった。
従来の即効性がある手法といえば、リニューアルオープンに新台入れ替え、イベントだった。これらの手法がまったく通用しなくなった。
そして、頼るのがコンサルだが、結果が出なければ、半年あまりで契約を打ち切ってしまう。それほど、即効性を求めた。
「子は育てたように育つ。それまでのやり方はおいしい餌に食いついてくる客しか育ててこなかった。時代はとっくに変わっているのに、対応できなかった。客を育てるには1年、2年とかかる。いつ大手が来てもいいように日頃から対応策を考えなければいけない。いざとなった時にあたふたしても手遅れ」と話すのは業界アドバイザー。
昔から営業してきた既存のホールの現状はまさに手遅れ、といわれても仕方ない状況で手の施しようもなかった。
パチンコホールの時給は他業界よりも高い。機械代に続いて高いのが人件費だ。稼働が下がり、売り上げが下がれば当然のこととして考えるのが、人件費の削減だ。まず、従業員を減らすという発想しか生まれないのだが、業界アドバイザーの考えは間逆だ。
「今の人件費を減らすのではなく、今の人員で仕事を増やすこと。ホワイトボードにホール業務をすべて書き出し、ホールスタッフがやっていなかった業務もやる。仕事が増えるということは結果的に人件費の削減につながる。ホールでこの話をしてもやったことがないから、現場や店長からは『できない』と反発する。自分の店舗を他人に入り込まれるのが嫌いな人が多いから、改革もできずに今まで通りのやり方を踏襲して失敗している。それに気づかないホールは再生できない」
業界アドバイザーの話を1日聞いて、ホールが激変するような魔法の手法は存在しない。
顧客を一人ずつ育てるような顧客密着営業で、地道な営業努力を続けてきたホールが最後には生き残る。

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