そのおじいちゃんは80歳を過ぎていた。パチンコでこの2年間で800万円あまりを負けてた。おじいちゃんの家族は、800万円も負けた原因が認知症にある、と見ている。
これまでもパチンコはしていたが、ここまで財産をつぎ込むほどのめりこむことはなかった。
そこでおじいちゃんの家族は考えた。
認知症の年寄りを遊ばせたホール側にも責任があるのではないか。ホール側は認知症の老人とどのように接していたのか。認知症の老人に無駄なおカネを使わせたことに対してホールに落ち度はないのか。
認知症の老人は判断能力が鈍っているにも関わらず、遊ばせ続けたのだから、使ったおカネを払い戻してもらいたい、というのがおじいちゃんの家族の言い分で、裁判を起こす構えだ。
訴えられるホールは受けて立つしかない。
実はおじいちゃんの家族は、裁判に勝ち負けは求めていない。認知症の老人を遊ばせて大金を使わせたことに対してホール側の責任を社会に問いたい、というのが本音のようだ。
似たような裁判の事例である。認知症老人を狙った投資信託がそれだ。株式売買の手数料収入が落ち込む証券会社が、販売に力を入れているのが投資信託である。
現場では手数料収入を上げるために、認知症老人を強引に勧誘して投資信託を1000万円分販売したケースがある。
投資信託は買い替えや買い増しをすることで手数料収入が入るため、証券会社の社員が10数回繰り返させ、400万円も損をさせた。
これで証券会社が訴えられている。
こうしたケースでは元本割れがあることをちゃんと説明せずに勧誘した、として証券会社に損失を支払うように命じる判例もある。
この場合、売買契約書があるが、ホールで遊ぶときに遊技契約書を交わすわけではない。従ってホールに落ち度を求めるのは難しいようだ。
弁護士も勝ち目は少ない、と見ている。
実際に損害賠償請求する訴えを起こせば、マスメディアが飛びつく裁判になることだけは間違いない。
反パチンコ派にとっては、パチンコを叩く格好の材料になる。警察の中でも反パチンコ派を勢いづかせることが懸念される。

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