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Sスキームが租税回避になった背景

世間を騒がせているSスキームなる節税方法がスタートしたのは1998年ごろから、といわれている。



指南役となった税理士先生は、その昔、パチンコ業界のホール組合で講演した実績もある。税とは戦う姿勢の税理士先生だったようだ。



今回のSスキームが節税か、租税回避かは企業側と国税の間で見解が分かれるところだが、10年以上も前から行われていたSスキームが今ごろになってなぜ急に問題視されるようになったのか。一番の関心事はこの点だろう。





Sスキームにはいくつかの方法があるようだが、週刊朝日によると代表的な方法が価値の下がった不動産を別の子会社へ移すことで含み損を表に出すこと。例えば10億円で取得した不動産を所有していて、実勢価格が5億円に下がり、路線価格は4億円になった、とする。



この不動産を4億円で子会社へ譲渡すると親会社は6億円の差損を「譲渡損」として計上できる。損金分だけ納税額を圧縮できる。この場合の特徴は単純に譲渡するのではなく、「現物出資」という形で不動産を移動させ、親会社は現金ではなく子会社の株式を受け取るので、現物出資であれば現金がなくても不動産を移転することができる。



こうした方法が合法的な節税なのか、それとも租税回避になるのかは、国税の判断となる。



2001年の税法改正で企業組織再編税制を応用したものが上記のケースでもある。



この法律改正の本来の目的は日本企業が国際競争で負けないように現物出資や合併分割をやりやすくするためのものだった。



従って、この方法が国税内部でもただちに真っ黒と言えないので、国税も10年以上の手を付けなかった、といわれている。



そういえば、風営法改正を悪用したのが診療所などを使って出店妨害する方法だった。昭和60年の改正で学校や病院などの保護対象物から100メートル以内はパチンコ店が建てられなくなった。この法律を逆手に建築途中のパチンコ店の周辺に診療所を建て、パチンコの営業許可が出ないように妨害工作をしていた時期があった。



今は妨害目的と警察が判断すれば、パチンコ店の営業許可を下すようになったので、この手の妨害工作は下火になったが、Sスキームは何やら同じような臭いがする。



国税としても真っ黒ではなかったから10年以上の手を付けなかったようだが、今回国税が動き出した背景には、パチンコ業界を懲らしめたい勢力の力が働いているようだ。



「東日本大震災後のパチンコ業界の対応には、石原都知事をはじめとして多数の非難を浴びました。今後の消費税対応についても業界がどんな対応をするのか国税は高い関心を示しています。カジノ推進派なども含め複数の力が働いて、今回GOサインが出たものと思われます」(都内税理士)



グレー判断だったSスキームが租税回避に振り子が動いた背景には、消費税対応もきっちりしろとのシグナルでもあるかのようだ。





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