40~50年以上の社歴がある老舗業界誌が何社もある一方で、攻略誌が誕生して20年あまりだが、一発当てれば自社ビルが建つほど一般誌は儲かる。後発の羽振りのよさにジェラシーを感じることもないほど、同じ業界でありながら住む世界が違っていた。
まもなく終焉を迎えることになるはずのライターイベントなどの特需も攻略誌にはあったが、業界誌記者にはそんな特需もない。
攻略誌の子会社がケータイで賭博サイトを開帳していた容疑で逮捕されたのは2月の上旬だった。子会社とはいえその影響はパチンコ業界にもじわじわと忍び寄っている。
ライターからは本体の攻略誌の存続自体を危ぶむ声も聞こえてくる。
「編集部はプライドが高いので、過激な記事を書いてはメーカーともよく喧嘩していました。それで西陣からは出入り禁止になっている。攻略誌として西陣の情報が一切ないのもどうかと思う。西陣以外にも記事の書き方を巡ってトラブルになって没になった記事もある。そういう下地があって今回、賭博容疑で逮捕者を出すような会社と取引するメリットはないので、広告を下りるメーカーも出てくる動きもある」と危惧する。
現にコーポレート・ガバナンスがきっちりしている上場メーカーの中には、逮捕者が出た企業とは取引しないなどの規定があるようで、契約の打ち切りが決定している。
メーカーだけでなく、ホールも広告を出稿しているようだが、今後見直しが図られる可能性は高い。
本誌の広告以外にも、同社と提携していた会社が契約を打ち切るケースも出てきている。
ところで、過去のエントリーの中でパチンコ業界を悪くした一因として、攻略誌の存在を挙げる業界関係者もいた。その人は詳細な情報が機械の短命化につながることを指摘していたが、それ以外でも社会問題化したいくつかの事象がある。
インチキ攻略法や打ち子やサクラ募集などのいかがわしい広告の数々がそれ。掲載していたころは各社とも広告倫理規定などのガイドラインがなかったのだろう。社会通念が欠如していたといわれても仕方ない。
被害者拡大の片棒を攻略誌は担いでいた。その反省から攻略誌5社は、その手の広告を排除し、パチンコ攻略詐欺撲滅ファン雑誌協議会を組織している。
かつては企業モラルが問われるようなことも平気でやってきた下地が、違法賭博サイトへとつながったのかも知れない。
違法サイトは3年間で客から集めた賭け金が8000万円に対して、広告収入の方が3億2000万円と断然大きかった。
ヤミ金に手を出しそうな客をターゲットにした広告もあったようだ。逮捕された社長自身も広告収入を伸ばすことが目的だった、と供述している。違法賭博収入よりも広告収入を目的に立ち上げたサイトのようにも思える。
攻略詐欺やサクラ募集の広告は本誌から消えているが、胡散臭さそうな出会い系サイトや競馬予想サイト、クレジットショッピングを現金化するという怪しげな広告は健在だ。
雑誌の発刊も3カ月間ほど自粛するようだが、この間にいかがわしい広告の見直しも図られていることを期待する。

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