理由は単純明快だ。
他業界の案件は忙しく、利益率も高い。一方で遊技機の案件は、メーカー側のコストカット圧力が年々強まり、下請けが割を食う構造が限界に達したからだ。
遊技機メーカーにすれば、ホールの購買力が落ち、販売台数も右肩下がりの中で値上げなどできるはずもない。すると削るのはどこかといえば、最後に残るのは「開発費」だった。
メーカーの生命線であるはずの部分にメスを入れざるを得ず、そのしわ寄せが下請けへの値下げ圧力として降りかかる。
「これまでは長年の付き合いで多少の無理は飲んできた。しかし、もう限界だった」と開発会社の社長はそう漏らす。
遊技機の開発では、今もっともコストがかかるのがグラフィック処理だ。ミドル機やロングSTなどの演出は年々派手になり、版権の映像クオリティに引っ張られ、制作負担は重くなる一方。
その一方で、メーカーは開発費の削減に躍起になり、開発にかけられる予算は縮小の一途。割を食うのは当然、下請け側だ。
「大型版権のヒット機で機歴販売で台数を捌けるメーカーはまだいい。でも固定ヒット機を持たないメーカーは、機歴販売が成立せず台数が読めない。こちらとしても案件を請けるリスクが高すぎる。いずれ休眠状態に入るメーカーも出るのではないか」
開発会社関係者の声は、すでに危機感を通り越している。
こうした状況下で、一部メーカーが目を向けているのがハネモノだ。版権料がかからず、開発費を圧倒的に抑えられる。原価が安くても、販売価格はセブン機に近い40万円以上を維持でき、メーカーにとっては利益確保ができる。
しかし、そこで立ちはだかるのがホール側の冷ややかな反応だ。
ハネモノは粗利が取りにくく、売上も見込めない。メーカーがどれだけ開発費を抑えて利益を出したくても、ホールが大量導入する未来は見えてこない。
そして最後に開発会社関係者は、業界の根本的な問題を突きつけた。
「遊技機開発会社に、優秀な人材が集まらない。パチンコ好きで入ってくる若手なんて、ほぼゼロです」
これは単なる愚痴ではない。
専門性の高い技術産業で人材不足が常態化するということは、即ち産業としての未来が揺らいでいるという意味だ。
メーカーが開発費を削り、下請けが撤退し、人材は集まらない。
静かに、しかし確実に、遊技機の開発インフラそのものが崩れ始めている。
この“静かな決断”を放置したままでは、業界の未来は描けない。
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