10年、20年以上も前のレトロパチンコ機が打てる会員制の遊技空間だった。

もちろん出玉が換金できるわけでもない。昔懐かしい機械をもう一度打てることが「えびす会館」のコンセプトだった。
開業するに際して、所轄に事前のお伺いは立てた。
会員制で入場料は取るけど、8号営業の許可が必要になるかどうかが心配だったためだ。
所轄のお墨付きはないものの、絶対ダメという判断でもなかった。8号の営業許可がなくても大丈夫との感触を得て開業に踏み切った。
イメージとしては会員になってもらって、会費からスペースを時間貸しするという感じだ。
レトロパチンコが打てる「えびす会館」は、各種メディアにも取り上げられるようになった。
こうして警察庁の目にふれるようにもなる。
これで本庁が異を唱えた。
入場料とはいえ、お金を取っていることは8号営業に抵触する、と横やりが入るようになり、それに伴い、1月に所轄が動いた。
このまま続けるのなら8号営業の許可を取れということになった。
ところが、「えびす会館」が入っているビルでは風俗営業の許可は下りない。
所轄と店舗責任者の間でやり取りが交わされた。
「じゃ、料金さえ取らなければこのまま続けてもいいんですか?」
所轄の答えは、ここでも明確にNOではなかった。
おカネを取らない以上、風営法に抵触することもないが、無料で提供できるほどの資金的余裕が運営側にあるわけではない。
店舗責任者のゆきちさんは、所轄からの指導が入り決断を迫られる。
3月一杯でえびす会館を閉めることにした。
指導が入ってからはゆきちさんの意地で入場料を取らずに、無料で開放している。そのリミットが3月一杯である。
個人で運営している以上、事務所経費などを含めて入場料収入だけが頼りだった。
えびす会館を維持する方法は2つ。
8号営業の許可を取り、別の場所で再開するか、えびす会館の運営趣旨に賛同したスポンサーが出てきて無料で開放するするか。
無料開放といえば、四海樓道頓堀店の地下がレトロパチンコを展示する博物館だった。見るだけでなく無料で打てることが特徴だった。
同社のホームページを見ると昨年の8月からメンテナンス休業延長のお知らせが続いている。
えびす会館の指導との因果関係でもあるのか? パチンコ店内であれば無料で打たせることもできない、ということか?
この行政指導の厳しさは何を意味するのだろう。
3月一杯まで、土日はえびす会館を無料で開放している。

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