ネット通販からは一歩引きさがりたい会社があれば、これをビジネスチャンスとして捉えている会社もある。そのうちの1社が軽トラの桃太郎便だ。ヤマトからこぼれてくる仕事を片っ端から拾うために、同社では1万台の増車を計画している。1万台増車するということは、1万人のドライバーを新たに雇用する、ということだ。

そんな桃太郎便にパチンコ業界から転職した女性がいる。
「ホールは副流煙問題もあるので、健康面を考えて転職しました。宅配は働いただけ給料が上がるシステムもあるので、やり甲斐もあります。何よりも皆から『ありがとう』と感謝される。これはホールで働いている時には味わえなかった」と転職理由を話す。
屋内では禁煙が当たり前の環境で、唯一喫煙できるホール内で働かせるということは、若者の喫煙率が年々下がっていることも考慮すれば、若年層を確保するためにはハンディとなる。
ホール現場では募集しても応募がないので、結局は時給を上げることになる。それでも集まらずお手上げの状態が続いている。
なぜ、採用できないのか?
人材支援のアベブの太田氏はこう分析する。
「採用ができない原因の特定ができておらず、有効な対策が打てないという点が最大の苦戦理由と考えられます。言い換えると、求職者のニーズと求人募集内容がミスマッチであるケースが、採用ができない最大の理由だと言えます」
職探しにおける重視ポイントとして、以下の5点を挙げる。
①年間休日数/年間労働時間数 ⇒ 年間最低100日以上を望む若者が急増
②正味時給⇒年収÷年間労働時間数/残業の有無
③3年以内の定着率⇒80%を超える場合は求人原稿に記載した方が○
④福利厚生⇒社会保険/住宅手当関連/転勤の有無/有給/他社にない魅力
⑤給与⇒実家住まいか一人暮らしかで異なりますが、高いにこしたことはありません。
直近では、①~④を特に重要視する求職者が増加傾向にあるようだ。
さらに、採用するためには、以下のいずれかの対策が必須条件となる。
①付加価値を提供する⇒他社にない魅力で引き付ける (日頃の集客と同様)
②できるだけお金をかけず、手間をかける⇒幅広いシフト希望に対応できる職場環境の整備など
③手間はかけられないため、とことんお金を使う⇒給与等の大幅改善/莫大な求人費用の投入
太田氏が推奨するのは①⇒②⇒③の順番だ。
①で採用できている企業はひと握りとなり、中々差別化ができない企業が圧倒的に多い現状だが、採用の一番の有効策であることから、あきらめずに考えていく必要がある。
また、②を飛び越えて③の企業が多く占めている傾向にある。これは、現在の自社ビジネスモデルの収益構造から、対応できる余力があれば、それはそれで○だが、多くの企業では、人件費や求人費用の増加は最終的に、自ら首を絞めるケースが大半を占める。
よって、①と②について対策を練ることが、採用人数を増やし、採用コストを抑える近道だと言える。
求職者の動向を見る限り、②の対策を打てば、採用しやすくなると考えられるが、その対策を打つにあたっての手間を負わないことで、結果的に求人コストがムダに終わるケースが多いことから、まずは採用できない原因の特定が最優先事項となり、ある程度の手間を覚悟しなければ、強力な売り手市場での採用は、かなり難しいと考えられる。
アイデアを出すか、手間をかけるか、お金をかけるか、の3択から、まずは方針を決める必要がある。

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