東京在住のスロプロのAさんは、年齢は50代前半。大学を卒業してサラリーマン生活を送っていたが、28歳の時に会社を辞めてスロプロ生活をスタートさせた。気が付けば25年もスロプロ生活を送ってきた。学生時代からスロットを打ち続けているのでスロット歴は30年以上の大ベテランである。
引退を決意した理由はただ一つ。
勝てなくなったからだ。4号機の全盛期は月に200万円は楽に稼げていた。5号機になってそんなに稼げなくなったが、それでもずっとプラスで推移した。
一昨年ぐらいから異変を感じた。そして、昨年は11月までのトータルで150万円しかプラスになっていない。全盛期には月に200万円稼げていたのに。1カ月分の稼ぎを1年掛かってようやく稼ぎ出しているようなものだ。
儲かっている時は地方にも遠征していたが、地方で食えなくなったスロプロが東京へ出てくるようになって久しい。
「地方ではスロットを打っている人そのものが少ない。だから、設定も入らないので、誰も打たない。5スロがかろうじて稼働しているが、プロが食えない店に一般客が来るわけがない。地方は将来の日本の縮図。都会だって安泰とはいえません」(Aさん)と指摘する。
Aさんはスロプロを引退して、働くつもりだが、年齢からして正社員で雇ってくれる会社などありはしないが、年収で150万円ぐらいならアルバイトでも稼げるので、そっちの道を選ぶつもりだ。
なぜ、スロプロを引退してアルバイト生活を送るかというと、「精神的に楽」というのがその理由。
アルバイト生活に甘んじられるのは、それなりの貯えがあるからだ。25年間で貯めた金額は8000万円以上。6冊の通帳にはいずれも1000万円以上の預金残高が記されている。
Aさんは酒もタバコもやらないで、スロプロ生活に賭けてきた。
1日の稼働時間は12時間。遊ぶ時間がないので、カネは貯まる一方だった。タバコを吸わない理由は両手を使って回し続けるため。タバコを吸うと片手が疎かになって回せない、というのがタバコを吸わない理由。
トイレも大の時はあえて和式を選ぶ。洋式だと落ち着いてしまう時間がもったいないからだ。1分、1秒を回すことに集中した。
昼飯は自分が作った特大のおにぎり。外へ食べに行く時間が惜しかった。
「4号機の時は夢があった。3万円入れても10万円戻るので、その夢を追っかけた。今は事故待ちしかない。人それぞれが負けても納得できるボーダーラインを持っている。1万円突っ込んで5000円戻ってきたら、遊ばせてもらったから、と納得できる人もいたが、今はそう考えるお客さんは5スロを打っている。少額を負けてくれるお客さんが沢山いたからプロが食えた。今は大負けすると二度としない。等価交換になって大学生が遊べなくなった。消費税が上がれば、まずますサラリーマンもしなくなる。スロットはいずれ壊滅状態になる」と予言する。
スロプロが食えなくなったのは「遊ばせてくれたから」と負けても納得してくれるお客さんがいなくなったからだが、そうしむけたのはホールである。

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