都内の駅前型店舗は、地域一番店を誇る店舗で、珍しいことに昼休憩は外食することが許可されている。駅前なので様々な飲食店もあるので、コンビニ弁当のように栄養が偏ることもない。
同ホールの男性スタッフが、制服に上着を羽織って近くの牛丼屋で昼食を食べている時だった。その姿を目撃した常連客がホールへ苦情電話を入れた。
「パチンコ屋の店員が制服を着て牛丼を食べるとは何事だ! 百貨店の従業員が制服を着て外でめしを食うことはないだろう。どういう教育しているんだ!」
一般的には確かにそういう光景は見かけないにしても、難癖以外の何ものでもない。そもそもこのホールは外食を認めているのだから、苦情電話を入れてきた人に対して「ウチでは認めています。何がいけないのですか」と毅然とした態度でと取ればよかったのに、そうではなかった。苦情を受け入れ、従業員を守らなかった。
ま、クレーマーというのは警察官がコンビニで買い物をしているだけでも、所轄にクレームの電話を入れるものだ。
で、牛丼屋へ行ったスタッフに対して上司が注意した。会社では認められていることを注意された方は気分が治まらない。「どうして従業員を守ろうとしないんだ!」と会社を辞めるモードにスイッチが入ってしまった。
外食しているとこういう問題が起こるから、大抵のホールは、外食はNGにしている。勤務中の休憩で、コンビニへ買い物に行くことはOKにしているチェーン店は、その際は上着を羽織って、腰にぶら下げている台鍵は外して出かけるように決められている。
外食まで許可するとどこで常連客が見ているか分からないので、危機管理的には外食は認めないとなっているわけだから、認めたのであれば、最後まで従業員を守れ、ということだ。
すっかり辞めるモードの男性スタッフは勤務歴15年選手で中堅社員といえる。30代半ばなので転職が効く年齢でもある。人手不足でもあるので、その年齢なら職種を限定しなければ再就職も簡単だろう。
15年選手の中堅社員が辞める気になっている理由はほかにもあった。ダントツの地域一番店がかつての輝きをすっかり失っていることもある。
同ホール担当のメーカー営業マンがこんな面白い情報を持っていた。
昼間は高齢者の常連客で支えられているのだが、ある一人の常連客から「最近、来店回数が減っている」と話を聞いた。理由は以前より負ける回数が増えたからだ。最初は自分だけ運が悪いのかと思っていた。その話をすると「オレも、オレも」と賛同する声が多かった。
常連客の口コミは瞬く間に広がり、ライバル店の方へ移ってしまったために、稼働の方が駄々下がりになっているようだ。
地域一番店は出していたから地域一番店を維持していたが、出さなくなった途端に常連客から三下り半を突き付けられるのも早かった、というわけだ。
こんな稼働が下がっているホールで働くのが嫌になるのは頷ける。

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