パチンコ日報

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業界もユーザーも高射幸性志向からの脱却

パチンコ業界の組織・団体系の広報誌が毎月発行から隔月に替わり、さらには紙媒体からwebへ移行することが関係者には伝えられている。

会員が減れば、活動資金も減る。いうまでもなく経費削減の一環だ。発行に携わっていたライターたちは仕事を失うことになる。業界がシュリンクすることでこんなところにまで影響が及んできた。

実際、パチンコ業界の社会貢献への拠出金もコロナ前の2018年が17億203万円だったのに対して、2022年は8億7107万円まで下がっている。ホール舗数が減少していることに加え、コロナ禍で落ち込んだホールの業績が回復しておらず、拠出金が減額していることが推察できる。
メーカーともなるともっとシビアだ。

「今のクオリティーを保ちながら開発費を下げろ、と会社の上から開発部には檄が飛んでいます。新台を40~45万円で買えるホールが今後ますます減るということで、『35万円で売れる機械を作れ』という指示です。これってふた昔前の価格で、35万円のアッパー時代が見えてきた。ホールさんもバカではないので、筐体をでかくして誤魔化せなくなった」(メーカー開発関係者)

開発費を下げながらクオリティーは保て。設計から全面的に見直して、35万円でたくさん買ってもらう路線だ。ただ、あまりにもコストを下げ過ぎると耐久性の問題も出てくる。この難題に「よし! やってやろうじゃないか」という奇特な人はいない。無理難題をぶつけられた開発陣のモチベーションが上がるはずもない。

40代の開発担当は「ヒット機を出すアイデアも枯渇した。45万円と35万円の10万円の差は大きい。今までのように下請けに丸投げすることもできない」と頭を抱えるばかりだ。

モチベーションも下がり、考え方もネガティブになると、その先は会社を辞める方向性に落ち着く。後20年は働かないといけないわけだが、10年後、会社はさらに苦しくなっている、と読んでいる。

「そもそもガンガン売れる時代でもない。ホールさんの買い控えはさらに続く。一度ヒットしたコンテンツを使いまわし、飽きられてしまって、ヒットさせるコンテンツもない。3年間の検定は遊技機の車検制度の様なものでそれに助けられてきた。機歴の問題もあり、ホールさんは自らが率先して買ってきたわけでもない」(同)と現状を達観している。

どうしてパチンコがこんなことになってしまったのか? 

2000年頃のパチンコの時間粗利は、720円だったものが、現在は1380円、とこの20年余りで倍に上がっている。スロットの方はさほど変化がないのに、パチンコだけが上がっている。

時間粗利が上がれば、上がるほど稼働は下がる相関関係がある。特に時間粗利が上がるハイミドル機の設置比率が高くなり、4パチを打てる客がスロットの方へ流れている。

ハイミドルのスペックは千円スタートも平均より低いために、ユーザーは回らない感触を持っている。それは1個返しなどでベースを下げることで、出玉で還元するスペックなのだが、出玉を増やし、出玉スピードを上げれば、自ずと千円スタートは下がる。

売り上げをハイミドルに頼るばかりに、4パチユーザーを自らが苦しめていることになっている。この現状から脱却するには、業界が一丸となってユーザーがあまりおカネを使わないで楽しめるパチンコへ生まれ変わらなければない。業界もユーザーも高射幸性志向からの脱却が今求められている。




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