業界誌ピデアのインタビューで大遊協の平川理事長は、スマパチについて次のような見解を述べている。
「CR機の時のように全国的に浸透するのは、特にスマパチの場合は難しいでしょう。スマスロも確かに活気づいているんですが、設備投資の額を思えば、全台というのはまだまだ先の話でしょうね。スマパチに関しては玉が皿に出ないことが逆にお客様の不安感にもつながり、悪影響しているのではないかと思っています」
CR機が登場した約30年前と今ではホールの体力に歴然とした差がある。ユニットを含めた台当たり100万円の初期投資ができるホールとなると限られてくる。このままスマパチはフェードアウトしていくような予感さえする。
盆商戦に向けて8月、日工組は柴咲コウが巨大な玉に乗ったテレビCMを再び流していた。既定路線とはいえ、盆商戦に向けて各メーカーからのスマパチのラインナップもなく、ホールからの期待感もない中で、ちぐはぐ感が漂うテレビCMだった。
元メーカーの社長が自戒を込めて「自業自得」と切り捨てる。その心は「パチンコは大衆娯楽の原点を忘れて、賭博性ばかりを追い求めた結果が今。日常的な娯楽からはるかに逸脱している。根本的なところから反省しなければならない」と指摘する。
この元社長が考えるところの大衆娯楽とは、2~3000円握りしめて、サンダル履きでホールへ向かい、2~3時間粘ってその日の晩飯が少し豪華になる。
ホール経営もやっていたこの社長はホールの仕事をスリに例えた。
下手なスリはサイフごと持って逃げる。
ちょっと賢いスリは中身だけ抜いてサイフは戻す。
さらに腕のいいスリは、相手の顔色を伺いながら1000円ずつ抜いていく。
客の顔を覚え、どれぐらい勝っているか、負けているかも頭に入れていた。
出したり、取ったり…。
どんなに時代が変わってもパチンコの商売の原点は変わらない。新装開店で玉を出して客を付け、徐々に徐々に絞っていく。昔の新装開店は入れ替え台数も多かったので、「勝った」という記憶を客に刷り込ませやすかった。
今は機械代を回収するために閉めるのが早すぎる。客は負けた記憶しか刷り込まれない。
客はこの勝ったという記憶を元にまたパチンコを打つ。
100回やって100回負けさせる店はまさに下手なスリ。
負けていることに気づかせないように徐々に負けさせる。これがパチンコ営業の極意。
もう、この時代へは誰も後戻りすることができない。

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