転職理由は奥さんの実家が葬儀会社で、父親の後を継いでいた奥さんの弟さんが急逝したことで「俺がやる」と手を挙げたことから、葬儀業界へ転職することになった。
奥さんの実家の会社を継ぐことになるのだが、転職した理由の一つに「罪滅ぼし」があった。
ホール時代、客が借金苦で自殺したことがあった。自分の仕事が理由で死を選んだことがずっと心の片隅で引っかかっていた。いうなれば、転職は渡りに船でもあった。
葬儀の手伝いをしながら、葬儀業界を一から勉強することが始まった。
これまでに、30件の葬儀を経験した。
この中で、前職のことが走馬灯のように蘇ってくる葬儀があった。
個人情報を晒すことになるが、享年55歳。職種はブルーカラー。パチンコは大学に入って覚えた。職場結婚するが、5年で離婚している。ギャンブルが大好きで競馬やパチンコに給料の半分を突っ込んだことが離婚原因と思われる。
馬券の買い方は一発逆転の大穴狙いだった。その結果、2000万円を引き当てたことがある。大穴を当てた時の快感が忘れられなかった。パチンコでは10万円ぐらいしか勝てないので、裏カジノへ走った。借金も作り、職場に取り立てがくるようになり、追い込まれて首を括った。
喪主は母親で小さな葬式だった。
「ギャンブルの入門が垣根の低いパチンコだったようです。そこから競馬や裏カジノに走ったようです。罪滅ぼしのために入った葬儀業界ですが、気が滅入ってきました。人のためになる人生を送りたいと思って入った葬儀業界ですが、今後もパチンコがらみの自殺が出てくるかもしれないので、嫌になってきました」と今の心境を吐露する。
家族の気持ちになって寄り添おうと思ったが、同情し過ぎると自分の精神が病んでしまうことに気づいた今日この頃だ。

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