換金の方法を教える問題は、何も外国人だけの問題ではない。
千葉市内のホールでの出来事だった。
2人組の20代の前半と思われる男性客がホールに入って来た。2人の挙動を見ていたスタッフは、2人が初心者であることにすぐに気づいた。
2人のうち1人が1パチで6000発出した。止めようと思い、スタッフを呼んだ。
「おカネに替えるにはどうしたらいいんですか?」
「まず、特殊景品に交換して、それを両替所へ持って行って下さい」
「両替所はどこにあるんですか?」
「それは私の口からは言えません」
そこでお客が目にしたのが安心アドバイザーのポスターだった。

「じゃ、アドバイザーの人を呼んでください」
そこで登場したのがアドバイザーの資格を持つ店長だった。
「両替所をこの人は教えてくれないんですが、両替所を教えて下さい。どこにあるんですか?」
「それはお答えできません」
「何か理由があるんですか?」
「それは警察のご指導で教えてはいけないことになっていまして…」
「換金は違法なんですか?」
この時店長は歯がゆい思いをした。換金は違法と言われながら3店方式は風営法を遵守していればただちに違法ではない。
本音と建て前。この矛盾がパチンコ業界の発展を阻害している要因であり、外国人客を積極的に取り込めない大きな要因である。
「特殊景品に交換したお客様の後をついていけば場所は分かります」と店長が言えるのはここまでだった。
初めて打つ店は換金率も分からないのでお客にすれば不安だが、ホールは換金率を教えることも禁じられている。
アドバイザーのポスターの文中には「私たちアドバイザーが楽しく安全に遊んでいただけるようにサポートいたします」と書かれている。
パチンコ初心者に楽しく安全に遊んでもらうには、一般的に考えれば換金率や両替所を教えても何ら不思議ではないのに、換金にまつわることはすべてご法度。臭いものには蓋をし続けてきた業界の歴史がある。
「換金のことを皆深く考えないようにしています。そうでないとやってられませんが、全くお客様ファーストではないですね」と店長は、アドバイザーの資格を持ちながら何も教えられない自分を恥じた。
アドバイザーなら初心者には特に親切丁寧に教えたいものだが、このアドバイザー制度は依存症対策であって、初心者を対象にしたものではないということが図らずとも分かってしまった。

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