今回の連載で一番話したいと思ったのは、実は今回のテーマなのだ。ラスベガスの話から前回までは前座の様なものだった?
今から10年以上前なら、釘調整一つで稼働時間や集客や利益を上げられた。
ベースやTYの調整でお客を呼べた。
「あの時代の釘調整は本当に楽しかった」と昔の同僚と酒席で話すことも少なくない。
あの時代、店長の釘調整の工夫一つで、お客様を操ることができた。
私の経験の中で一番楽しいと思ったのは、競合店10店以上の中で地域一番店にした時だった。(自慢話に聞こえたらスマナイ)
ライバル店が大開店(18時)や15時開店などを仕掛けてきても、私の担当店はその間の6カ月間、一度も新台入れ替えもしないで売り上げ・稼動を落とさずに維持できたことがある。
現在と当時の取り巻く環境は違う。新台の出るペースは今の半分以下だった。だから、大事に新台を育てることができた。
現在のように話題の新台を繰り返して入れなくてもそれを許す環境だった。
40玉交換店で割数管理に強弱を付けて、お客様を操ることも可能だった。
新台入れ替え後、稼動が落ちてきたら13.6割>14.2割>14.5割>14割>13.7割と調整していく。
給料日として一番多い25日や15日の年金支給日前の調整に工夫を凝らす。
ベースでお客に遊び感覚を増幅させる。
こうした様々な調整ができた時代だから集客方法も戦略的に行うことなく済んだ時代だった。
釘調整でお客を呼べたし、操れた。
現在はどうだろうか。
昔の感覚のままの店長はいないか?
新台入れ替えに頼る店長は未だに後を絶たない。
店長だけではない、店長経験者で今は営業本部長に昇進している人も同じである。
どんなに優秀な店長を引き抜いても、結果が出ないで苦労されていることもある。
その店長の技量が足りないのではなくて、環境が技量を凌駕しているのだ。
これで店長が生活導線を無視した営業を行えば、いい結果は出るはずもない。
環境で救われるケースはある。
通行量の多い幹線道路沿いの立地であるとか、近くに繁盛している競合店や大きなショッピングセンターがあれば、店長のやり方次第では売り上げや稼動は上がる。
しかし、人の流れが自店舗に向かない地域では、結果はなかなか出ないのが実情だ。
茨城県のつくば学園都市で営業していた店舗は、競合店の出現で稼動がガタ落ちになった。
チェーンの中で稼働が一番悪くなり、ついには平均稼動が3時間を切った。
その時、チェーンの中で一番優秀で経験豊かな店長が立て直しに向かった。
しかし、その努力も虚しく閉店となった。
立て直せなかった理由は、優秀な店長を送り込むタイミングが遅すぎたのだ。
お客様の流れが完全に競合店に向いた後だった。
ここまで深刻にならないうちに、建て直しが必要であったケースである。
これと同じケースが目立つ。
それくらいお客様の生活導線を変えるのは難しいのだ。
だから、手遅れになる前に生活導線を作る努力が必要だし、その方法を探る必要がある。
優良店では自然に生活導線ができあがる。
これはマーケティングの常識である。
その逆。
優良店から転落する過程の生活導線はどうなっているか?
また、低稼働店まで行き着いた店舗の客の生活導線はどうだろうか?
一旦、市場の流れが自店舗から離れだしたら、それを食い止めることは本当に大変なのだ。
閉店した店舗の大部分は、かつては優良店だった経験を持つ。それが閉店に追い込まれるのには訳がある。
怠慢経営は例外だが、稼動が落ちたときに市場=お客の流れに無頓着だったツケが原因である。
続く
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