県遊協の理事長を長らく経験した人の会社ですらそんな状態で、退職金は勤続年数×1万円だった。仮に20年勤続でも退職金はわずか20万円である。これがほんの10年ほど前の話だった。今はどうなっているかは分からないが、退職金が勤続年数×1万円は、業界ではそう珍しいことでもなかった。
退職金制度が整っていない、ということは人材を育てる意思がない表れでもある。自分の会社に退職金制度があるかどうかは、就業規則を見なければ分からない。
退職金制度がある場合、自分が会社を辞める時に退職金がいくらもらえるかが気になる。
一般的には1カ月分の基本給×勤続年数×給付率が基本になる。ここで出てくる給付率とは自己都合(60%)か会社都合(70%)かによって変わる。
基本給が30万円で20年間勤務した場合の自己都合と会社都合では以下のようになる。
■自己都合
30万×20年×給付率60%=360万円
■会社都合
30万×20年×給付率70%=420万円
問題はここからだ。
東北のホール企業での出来事だ。その会社には就業規則に退職金制度は明記されていない。よって何年勤務しようにも退職金は出ない。
しかし、オーナーの心意気から退職金を出すことに決めたケースがある。
A子さんは26歳で入社して50年もの長きに亘ってそのホール一筋に働いた。御年76歳。体力に限界を感じて退職することになった。
A子さんは夫婦で訳アリの状態でホールに雇ってもらうことになった。一般の会社なら絶対に夫婦で雇ってもらうことはできないケースだった。
最初は夫婦で、子供が一人生まれたが、やがて離婚。ホールで働きながら女手一つで子供を育て上げた。
A子さんはホール周りからカウンター業務、掃除まで何でもこなした。ホールの生き字引的存在だった。
その働きぶりに感謝していたオーナーは退職金を支払うことにしたが、規定がないのでいくら払っていいのか見当もつかなかった。
そこで考え出したのがあみだクジだった。
A子さんの送迎会の場で退職金あみだクジ大会が開かれた。
パチンコのラッキー7に合わせてあみだは7本にした。
金額は最低が500万円。最高は1000万円。残りの5本は550万円、600万円、650万円、700万円、750万円とした。
退職金あみだクジ大会は大盛り上がりとなり、A子さんはなんと1000万円を引き当てた。
60歳になった時、定年延長で給料は下がったが、退職金制度がなかっただけにA子さんにはいいご褒美となった。

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